作品情報 2020年アメリカ映画 監督:アレクサンダー・ロックウェル 出演:ラナ・ロックウェル、ニコ・ロックウェル、ウィル・パットン 上映時間:91分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キネカ大森 2021年劇場鑑賞301本
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【ストーリー】
15歳の少女ビリー(ラナ・ロックウェル)と弟で11歳のニコ(ニコ・ロックウェル)はシングルファザーのアダム(ウィル・パットン)に育てられている。アダムは根はいいのだがアルコール依存症で有り金を酒に使い一家は貧乏のどん底。2人の母のイヴ(カリン・パーソンズ)はそんなアダムに愛想をつかして、若い愛人ボー(M・L・ジョゼファー)と暮らしている。
アダムがアルコール依存症のため強制入院させられることになり、2人はイヴとボーの所に預けられることになった。しかし、ボーからDVをうけた2人は近所の少年マリク(ジャバリ・ワトキンズ)とともに逃げ出す。それはとてもつらかったけど、3人にとって忘れられない日になった…
【感想】
アレクサンダー・ロックウェルはアメリカのインディーズ映画界では有名だそうで、カリン・パーソンズは実際に妻で、ラナとニコは2人の実子。ある意味ファミリー映画で本当の家族ならではの空気をだしていますが、自分の子をDV被害を受ける子役に抜擢するというのはなかなかえぐい。
それにしても、アメリカの駄目な大人はとことん駄目で、本作の場合は酒が原因となっています。僕自身、若いころは酔っぱらって無茶をしたのですが、子供ができたせいか最近は酔っ払いに批判的になっており、特に親が酒のみに夢中で子供の面倒をみないなんていうのは生理的に受け付けなくなりました。
ただ、アダムは2人のことを愛しており、2人もそのことがわかっています。だから、アルコール依存症だとわかっていても見捨てられない。一方、イヴは夫婦といえども所詮他人なわけですから、アダムと一緒の底辺生活はごめんなわけです。ぼろぼろのアダムの家と違ってボーの家は立派でプールもあり、これはボーのところに走るのもむべなるかな。しかし、母であることよりも女であることを優先したわけで、これもまた許せない気持ちになりました。毒親役に妻を起用したのはどういうことなのかちょっと不思議です。
画面は白黒がメインで、時々、2人の色鮮やかな思い出になりそうなときにカラーになります。このあたり、子供のころの思い出を大人になった時振り返るという意味合いがあるのでしょうか。子供は毎日を楽しむ天才なのに、つらい灰色の日が多いというのは何ともたまりません。
最初「シング」は歌のことかと思い込んでいたのですが、現代をみるとthingでありました。辛い日々の中にも甘い思い出となる出来事があったという意味でしょうか。かなりハードな状況におかれた子供たちが前向きに進もうという姿は、親世代の僕からするととにかく幸せになってほしいと願いました。世界中で似たようなことが起きているのでしょうから、一人でも多くの子供が不幸から救われますように。
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