2021年12月26日

ラストナイト・イン・ソーホー

 エドガー・ライト監督が憧れる1960年代のポップな世相と裏腹にある闇が、現代の少女の目前に現れる物語。音楽映画、青春映画、ホラー、ファッション、性暴力とジャンルがクロスオーバーしつつも、最後までウキウキで見られるのはさすがエドガー・ライト。

  作品情報 2021年イギリス映画 監督:エドガー・ライト 出演:トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ、マット・スミス  上映時間:118分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ湘南 2021年劇場鑑賞302本



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 【ストーリー】
 両親がおらず田舎の祖母(リタ・トゥシンハム)に育てられたエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ファッションデザイナーになる夢をかなえるため、ロンドンにやってきた。祖母の影響で1960年代のカルチャーにあこがれるエロイーズだが、同級生の間で浮いてしまい、寮にいずらくなってソーホーの下宿屋で一人暮らしをすることになる。

 その晩、エロイーズは1960年代に行き、歌手志望の若い女性サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)の魂に入り込むという夢を見る。それは現実のように鮮やかだった。毎晩、サンディの夢を通して、60年代を楽しむエロイーズだったが、サンディがジャック(マット・スミス)という若い不良に恋したことから、怖ろしい夢をみるようになり…

 【感想】
 ビートルズやツイーギーをはじめ、1960年代のロンドンは世界の若者文化の頂点でした。60年代の名曲が数々流れる中、楽しそうに踊るエロイーズやサンディの姿を見ているだけで、こちらもすごいポップな気分になります。ジャックと踊るサンディが、くるりと回るとエロイーズに代わり、さらに回るとサンディに戻るというシーンはSFXを使っておらず、スタッフ、キャストともノリノリで撮影した様子が楽しめます。

 しかし、最初は楽しい60年代でしたが、今以上にセクハラも暴力が当然とされる時代。歌手志望の田舎から来た女の子なんて、都会のワルにとって格好の獲物です。サンディがどんどん怖ろしい目にあい、それが、エロイーズにもシンクロして現代でも怖ろしい目に逢うというプロットはなかなかお見事でした。

 一方、ホラーが大好きなライト監督だけあって、ゾンビめいたシーンなどもありますが、基本的に怖くない。いかにも伏線っぽいところが、実はなんでもなかったり、クライマックスシーンなどは思わず突っ込みをいれたくなるほどいとおかしい。多分、ホラーに限らずさまざまなジャンルミックスだから、どのジャンルが好きな人も楽しめるようなポップな感じにしたのでしょう。

 トーマシン・マッケンジーが野暮ったい役柄だけに60年代リバイバルがかえってあうというギャップがいい。妖艶なアニャ・テイラー=ジョイとのギャップもいいですね。この2人のヒロインがとにかく魅力的。ポリコレもあるためか、エロイーズに思いを寄せる男子が黒人のジョン(マイケル・アジャオ)ですが、ヒロインたちに比べて全然へっぽこなのも時代を感じさせます。

 また、テレンス・スタンプ、ダイアナ・リグといった60年代の青春スターもスクリーンでは健在。ダイアナ・リグは本作が遺作になりましたが、1960年代のシーンで、ショーンコネリーの007の看板が目立つようにでており、ボンドガールとして特別な位置を占める彼女へのオマージュとなっていました。ちなみに出てくるレストランやショーパブは実在のものばかりだそうで、そういった小ネタも、60年代のイギリスに思いをはせられました。
posted by 映画好きパパ at 06:19 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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