2021年12月26日

天才ヴァイオリニストと消えた旋律

 ホロコーストを背景にした映画は今年何本も公開されましたが、こういう視点の作品もあるのかというのは意表を突かれました。ただ、BGMで感動させようというのが余計な演出で、タイトル通りヴァイオリンのソロをじっくりきかせればいいのに。

  作品情報 2019年イギリス、カナダ、ハンガリー、ドイツ映画 監督:フランソワ・ジラール 出演:ティム・ロス、クライヴ・オーウェン、スタンリー・タウンゼント  上映時間:113分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2021年劇場鑑賞303本



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 【ストーリー】
 1930年代。ポーランドのユダヤ人少年、ドヴィドル(ルーク・ドイル)はバイオリンの才能を見いだされ、家族と離れてロンドンの音楽家ギルバート(スタンリー・タウンゼント)に預けられて練習をする。そこでギルバートの息子マーティン(ミシャ・ハンドリー)と兄弟のように育つ。やがて第二次大戦が始まりドヴィドルの家族は行方不明となった。戦後、ドヴィドルのデビューレコードが評判となり、大ホールでコンサートをすることになる。だが、本番開始直前、彼は忽然と姿を消した。

 35年後、バイオリニストとして活躍しているマーティン(ティム・ロス)は、行方不明だったドヴィドルの手掛かりをつかむ。そして、ワルシャワ、ニューヨークと彼の足取りを追うのだったが…

 【感想】
 ドヴィドルはフィクションですが、消えた理由が史実だとしたらホロコーストに隠された秘話はまだまだあるのだなというのが第一印象です。原題がThe Song of Namesだけあって、音楽の重要性に驚きました。

 ただ、プロットは興味深いのですが、脚本と演出にちょっとこなれていないところがありました。過去と劇中の現在を繰り替えす演出ですが、それがちょっと平板になってしまって、肝心の部分での効果がそげてしまっていること。登場人物の心情も今一つ唐突だったり、恋愛場面も含めてなんかもやもやが残ります。

 なにより音楽映画で、バイオリンの吹き替えは世界的な奏者のレイ・チェンが行っているのに、バイオリンの演奏場面にBGMを重ねてきたり、曲もごくダイジェストだったりもったいなかった。せっかくの感動場面に水をさしてしまった感じがありました。

 大人になったドヴィドル役がクライブ・オーウェンというのはちょっと意外な感じでしたが、難なくこなしていました。ティム・ロスも相変わらずしかめ面したおっさんの演技はナチュラルです。おじさんたちが年相応に頑張っていると同年代としてはうれしくなりますね。
posted by 映画好きパパ at 20:22 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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