2021年12月27日

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

 アメリカのデュポン社による化学汚染訴訟で勝った弁護士を主人公にした社会派映画。知らないうちに我々日本人も汚染されているという事実は驚愕と恐怖しかありません。大企業の社員も同じ人間だろうに、利益のためにどんな悪いことでもするのか不思議で仕方ありません。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:トッド・ヘインズ 出演:マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ティム・ロビンス  上映時間:126分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2021年劇場鑑賞304本



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【ストーリー】
 1998年、大手法律事務所に勤める弁護士ロブ(マーク・ラファロ)のところへ、故郷のウエストバージニアの農場主ウィルバー(ビル・キャンプ)がやってきて、農場の牛が次々と不審死しており、隣接するデュポンの工場の廃棄物処理場から汚染物質が流れだしているので調査を依頼する。

 大企業の顧問弁護士を勤め、デュポンの弁護士フィル(ヴィクター・ガーバー)とも知り合いだったロブは一度は断るが、現場の惨状を見て引き受ける。だが、カネにならない公害訴訟に家庭も顧みずのめり込むロブに妻のサラ(アン・ハサウェイ)や上司のトム(ティム・ロビンス)は不安に思い…

 【感想】
 フォーエバーケミカルといって、分解されない汚染化学物質があり、それを使った大企業の製品が世界中にあふれているなんてびっくりしました。テフロン加工のフライパンとかうちも使っていたしなあ。それも酷いのですが、なにより仰天したのが危険性に気が付いたデュポン社が自社の従業員を使って生体実験をしていたこと。過失で汚染物質が漏洩したのとはけた外れの悪質さでそれこそナチスと一緒です。それが罪に問われないというアメリカの闇は深い。

 映画ではデュポンの人体実験で奇形として生まれた男性が出ており、特殊メイクかと思ったらエンディングをみると本人なんですよね。本物のロブ夫婦もカメオ出演ででていましたけど、それよりもびっくりしました。胎内で汚染物質を浴びせられる怖ろしさを見せようと本人も出演を承諾したのでしょうか。主演のマーク・ラファロは環境問題に取り組んでおり、本作のプロデューサーもしていますけど、彼の熱意が伝わったのかな。

 ただ人体実験まで行かなくても、日本でも安全基準をごまかして人が死ぬかもしれない装置を大企業が平気で売り出していました。大企業にかかわらないかもしれませんが、儲かりすぎるくらいの大企業が人命を平然と踏みにじるという怖ろしさ、経営陣や実際に手を汚す社員はどう思っているのか。映画ではデュポンは実名で、こういうきちんと実名で告発した劇映画を作れるのはアメリカ映画の良さですね。

 作品そのものは実話ベースですから、抑制された感じで続きます。関係者宅が放火?されるような事案は実際にあったのかわかりませんが、このほか駐車場のシーンなど淡白になりすぎないようにアクセントで怖がらせる演出をしているのは、本人たちの実感に沿っていて、観客も追体験できそうです。

 それにしても20年以上かかってもまだ係争中なことに驚きますが、水俣病の裁判も続いていますし、結局、利益第一の企業や国民の命を守らない国家というのは当たり前なんでしょうね。キャストではアン・ハサウェイのおばさんっぽいヘアメイクとティム・ロビンスが完全に白髪のおじいさんになっているのにはびっくりしました。
posted by 映画好きパパ at 05:58 | Comment(0) | 2021年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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