作品情報 2019年フランス、ドイツ映画 監督:ドミニク・モル 出演:ドゥニ・メノーシェ、ロール・カラミー、ダミアン・ボナール 上映時間:116分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2021年劇場鑑賞306本
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【ストーリー】
雪深いフランスの山村で、都会からやってきた女性エヴリーヌ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)が行方不明になり、雪道に自動車だけが放置されていた。警察は捜索を続けるが手掛かりは何もない。
村人のアリス(ロール・カラミー)のところに警察が聞き込みに来る。実はアリスは村はずれに一人で住み、人嫌いで知られるジョゼフ(ダミアン・ボナール)との不倫の帰りに無人の自動車を見かけていた。警察は日頃の行動からジョゼフを疑っているようだ。一方、夫のミシェル(ドゥニ・メノーシェ)に不倫を気付かれたかもしれないと気になるアリスだったが…
【感想】
いくつかの章にわかれていて、章ごとにアリス、ジョゼフ、ミシェルそれに事件に関係する他の登場人物それぞれの視点に切り替わっていきます。一種の羅生門のような作品で、同じ出来事を観ていても、アリスとジョゼフではこんなに意味が違うのか、というようなシーンが続きます。
最初はアリスの章からはじまるだけに、不倫関係のもつれと事件がなんやらの関係があるように思えます。夜の結婚生活もなくなって惰性で結婚を続ける中年女性が、ふとしたことから人嫌いの男と不倫に陥る。しかし、経済面のこともあり、離婚できないなんて、フランス映画でよくありそうなメロドラマかと思っていたら、話はどんどん違う方向に転がっていきます。
これだけ偶然が重なるというのは現実ではまずないでしょうが、一つ一つはだれにでも起こりえるような偶然が、各登場人物の身に起きています。もし、誰か一人でも違った運命を選択していれば、事件は起きなかったと思わせる脚本の展開の妙に感じ入ります。しかも、皆ちょっと普通でない行動をしているだけ、ある種の天罰なのかなとも思わされてしまいます。
基本的にフランスの雪深い寒村が舞台ですが、突然、アフリカに飛ぶなど観客に情報を子だしにしていることで、興味を最後までひきつけてくれます。Hなシーンもきちんとあって、なおかつ、愛がなければどうなるのかを皮肉も描いているのはいかにもフランス映画かも。知的に楽しめる作品でした。
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