2022年01月13日

偶然と想像

 「ドライブ・マイ・カー」が海外賞レースで絶好調の濱口竜介監督の短編集。本作もベルリンの銀熊賞を受賞しています。上演前に本人のメッセージが流れ、好きな俳優を好きなように撮ったとのことで、演劇・朗読調のセリフなどいっぷう変わった感じです。

 作品情報 2021年日本映画 監督:濱口竜介 出演:古川琴音、渋川清彦、占部房子  上映時間:121分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞7本



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 【ストーリー】
 モデルの芽衣子(古川琴音)は撮影帰りのタクシーで、友人でヘアメイクのつぐみ(玄理)から、運命的な出会いをしたという男性の話を聞く。しかし、その男(中島歩)は実は…(第1話、魔法(よりもっと不確か)

 作家で大学教授の瀬川(渋川清彦)に単位を出してもらえず内定が取り消しとなった佐々木(甲斐翔真)は逆恨み。同級生の奈緒(森郁月)をそそのかし、色仕掛けで瀬川のスキャンダルをでっち上げようとしたが…(第2話、扉は開けたままで)

 女子高校の同窓会で久々に故郷の仙台に戻った夏子(占部房子)は、駅でばったり思いを寄せていた、高校時代の友人あや(河井青葉)と再会するのだが…(第3話、もう一度)

 【感想】
 タイトル通り、偶然の結果、運命が左右されてしまう男女を描いたオムニバス。どれも実際に起きたらできすぎの話ですが、タイトル通り偶然がもたらしたとなると納得できるかな。3話とも会話劇のようで、質の高さは感じるのですがどこか作りごとのような気がしてなりませんでした。

 個人的に好きなのは1話目のいかにも都会のおしゃれな男女の恋愛ストーリー。特に古川琴音の目がくりくりした仕草、一見大人しそうに見えて実は恋愛で自分の心に忠実というキャラクターが強烈。つぐみがかすんでしまいます。実際こんな偶然があったら嫌だけど、いかにもドラマチックだなと思わせました。

 でも、内容よりも気に入ったのが、仕事の帰り道に恋バナをする2人が乗ったタクシーから見られる首都高の夜景。コロナ禍後は夜の首都高に乗っていないのですが、車窓からみえるビルの光が、特にライティングにこっているわけでもないのですが、アンニュイな気持ちにされてくれます。このタクシーのシーンだけで終わっても良いのにと思えたほど。夜のタクシーはそれだけでぞくぞくしますね。

 2話と3話は、1話以上に偶然に左右される話で、いくらなんでもという気がしました。しかし、芸達者な俳優陣の演技にはひきこまれます。渋川清彦は良い俳優になったなと感じ入るとともに、50代半ばという役柄にはびっくりしました。森と甲斐はこれまで意識したことのない俳優ですが、濱口監督がキャスティングするだけあって、印象的な芝居をします。そして、第3話は脇役として観ることが多い2人の中年女優の演技合戦。思わずくすりと笑ってしまいました。
posted by 映画好きパパ at 06:05 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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