作品情報 2020年日本映画 監督:阪本順治 出演:豊川悦司、安藤政信、吉澤健 上映時間:94分 評価★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞14本
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【ストーリー】
天才的なロボット工学者、桐生薫(豊川悦司)は子供のころから、自分の存在を実感できなかった。ある日、異母弟の山下求(安藤政信)が現れ、絶縁していた父親の栄一(吉沢健)が危篤状態で会いに来てくれないかと頼みに来る。その後、求はしばしば現れ、金品も要求するようになった。
一方、薫は自分そっくりのアンドロイドの開発に没頭していた。そんな彼の前に謎の少女(片山友希)が現れる。
【感想】
割とエンタメ系の印象が強い阪本監督が、自身の人生観や思索の後を色濃く反映した作品をとりました。コロナ禍の世界で、特に芸能関係者、映画関係者は先行きが見えない不安な状況に陥ったでしょうから、こういう自分とは何か、孤独とは何かというテーマに向き合いたかったのだと思います。
ただ、観客から見てそれがわかりやすいかは別です。桐生がなぜ孤独なのか、自分そっくりのアンドロイドを作ろうとしているのか、幼少期の分かりやすい説明部分と、現在パートの桐生の心情に関してはとっつきにくいという異なるテイストになっており、観ていてざらざらとした違和感を感じました。
現在パート、少女が何者かについても観客に任せるようになっていますが、なんか頭の中でひねくりだしたような存在でしかみえませんでした。一方で、弟の俗物性というのは、安藤の嫌らしいほどの存在感があり、映画に重みをあたえています。俗物といえば大学の学科長(本田博太郎)も俗物らしさで桐生とは好対照。本来だったらこの2人が嫌な人物なので、桐生をアゲてもいいはずなのに、自分で完結して行動していてその意味もわからず、見ているこちらはあまり理解も共感もできない感じ。
桐生が自宅に使っている、子供のころ病院だった古い洋館をはじめ、ダークで静かな雰囲気はでているけど、それが眠気を誘うところもあり、見る人を選ぶ作品でした。自分は選ばれなかったなというのが正直な感想です。
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