作品情報 2021年中国映画 監督:ジア・リン 出演:ジア・リン、チャン・シャオフェイ、リウ・シア 上映時間:128分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞16本
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【ストーリー】
2001年、女子高生のシア・シャオリン(ジア・リン)は何をやってもダメな少女。入試も失敗したのに、受かったと嘘をついたことがばれて騒ぎになってしまう。失意の彼女を優しい母親のリ・ホワンイン(リウ・シア)はなぐさめるが、事故で意識不明の重体に。
シアは子供のころから自分が面倒ばかりかけて母親の心から笑った顔を見たことがないことを悔やむ。徹夜で看病しているうちに、気付くとなんと自分が生まれる前の1981年にタイムスリップしていた。そこで若き日のホワンイン(チャン・シャオフェイ)にあったシアは、とっさに遠縁だとごまかして仲良くなる。シアは母親が幸せになるように、ある決断をするのだが…
【感想】
ジア・リンは中国では人気コメディアンということで、体形もふっくら。体をはったギャグで笑わしてくれます。実年齢はアラフォーなので女子高生役はしんどかったですが、中国の観客からするとそれもギャグなんでしょう。
穏やかな現代と違って、若いころのホワンインは元気いっぱいでシアと一緒になって青春を謳歌します。前半は予告にあるバレーボールのシーンのようにドタバタ続き。しかも、気が強いし、邦画だったらぜったい若いころもおしとやかにするだろうなと思いつつ、2人を中心としたくどいほどのドタバタは日本には合わないかなと思っていました。
それでも、シアの母の思うからこその空回りにしだいに応援したくなっていきます。だんだん、彼女が何を考えているのかわかるにつれて、意外な気持ちに。中国は親孝行への思いが強いから、こういう組み立てになるのでしょう。そして終盤に明かされる秘密で、これまでのくどいほどのギャグの意味が別にみえてきます。前半と後半では印象が全く違う。この構成はお見事でした。
まだ貧しい80年代の中国というのもいい。工場で働く男女は青い作業着をきて、移動は自転車です。休日の日は精一杯おしゃれをしますが、今の感覚からすれば貧しい田舎の服屋だからろくな商品がありません。テレビもようやく工場に入ったばかり。でも、そんな時代だからみんなでつるんで遊びにいく姿は微笑ましいし、男女関係も健全っぽいのがいい。モノクロ映像がカラーになっていくなんてありがちな展開を逆手に取るなど、ジア・リンは初監督とは思えない見事な演出ぶり。
エンディングロールで、ジア・リンの母親の姿が流れ、彼女がホワンインのモデルになったことが明かされます。自分にとっては大人だった母親にも若いころがあったのだというメッセージはストレートに伝わってきました。
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