2022年02月03日

恋せぬふたり(NHK月2245)評価★★★★★

 他人に対して恋愛感情を抱けない「アロマンテック・アセクシャル」をテーマにしたNHKらしい社会派ドラマ。岸井ゆきの、高橋一生の演技が素晴らしく、今期一押しです。

 【ストーリー】
 幼いころから異性に恋愛感情を抱けない咲子(岸井ゆきの)は、恋愛至上主義の母さくら(西田尚子)をはじめ、周囲からは誤解され、心苦しい日々を送っていた。ルームメイトになるはずの千鶴(小島藤子)からドタキャンされた彼女は、取引先の青年、羽(高橋一生)からアセクシャルという言葉を知り、自身もアセクシャルの彼とルームシェアをすることになる。それは異性の恋愛感情を抜きに、家族が作れるかの実験でもあった…

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 【感想】
 僕自身、多少、アセクシャルに近い感覚があり、若いころは周囲と話を合わせるのに苦労しました。咲子の苦労のいくばくかはわかります。また、長年連れ添った夫婦となると、恋愛感情よりも家族としての仲間意識が強くなっています。そうした意味でも、異性愛によらない家族というのがちゃんとできればいいなと、ハラハラしながら観ています。

 恋愛至上主義というのは、バブル期のころから盛り上がり、近年、急速にしぼんでいます。1980年代以前は見合い結婚で恋愛をしないで結婚するというのが当たり前でした。アセクシャルの概念は最近になってようやく認知されてきていますが、恐らく当時からあったに違いありません。ただ、見合い結婚当時はほとんどの人が結婚したのに比べると、人生の選択肢が広がった現代は生きやすくなっています。

 といっても、世間の偏見がまだまだ強いのも事実。さくらや、咲子の同僚で元カレだと思い込んでいる一(濱正悟)がオーバーに偏見をみせることで、咲子たちの生きづらさをわかりやすく示してくれます。岸井、高橋とも普段通りの演技をしていますが、今回の役柄にそれがうまくはまった感じ。普段は大人しく、なかなか友人も作れず、その貯めこんだストレスが爆発するというのが、さもありなんという感じでみられます。

 アセクシャルで嫌がる咲子のベッドシーンがあるなど、NHKドラマならではの性愛を正面から取り上げようという姿勢にも好感(冒頭にはちゃんと注意書きがあります)。脚本の吉田恵里香はドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」では主要キャストが美男子2人で、ゲイを美しく描き話題を呼びました。本作の場合、変に美化せず等身大に描いており、素直に見られます。

 なお、NHKの名作ドラマ「だから私は推しました」(2019年)に登場するアイドルグループ「サニーサイドアップ」が名前だけですが登場。世界観が一緒だということで、ドラマオタクを喜ばしてくれます。
posted by 映画好きパパ at 06:38 | Comment(0) | テレビドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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