2022年02月26日

PALARELL

 公式ツイッターからフォローされ、東京で限定上映されているというので見に行きました。真・事故物件とスプラッター要素をはしごすることになりましたが、それより美術、音楽を含めた世界観は特筆すべき美しさでした。

 作品情報 2021年日本映画 監督:田中大貴 出演:楢葉ももな、芳村宗治郎、菅沢こゆき  上映時間:84分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2022年劇場鑑賞21本

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 【ストーリー】
 幼いころ両親から激しい児童虐待を受けた舞(楢葉ももな)は、大人になってもつらい過去をひきずり、流されるままの日々を送っていた。唯一、関心をもつのが世間を騒がす美少女アニメキャラのコスプレをした人物による連続殺人事件。犯人は猟奇的な手口で殺人を繰り返し、その様子をネットにアップしていた。一方、犯人は偶然見かけた舞に激しく興味をもち、自分の正体を隠しながら近づいていく。

 【感想】
 田中監督は脚本、プロデュースだけでなく、照明、編集はては劇中のアニメまで手掛けているという才人ぶり。舞台あいさつで「お金はないけれど魂をこめた」と話していましたが、映像、音楽を含めて、低予算がまったく気にならない高品質の作品に仕上がっていることが驚きです。

 また、楢葉ももなの存在感もすばらしい。これまで知らなかった女優ですが、無名でもカリスマ性をもった美しい俳優というのが男女問わずいるのかと実感しました。まだこなれていないところもあるけれど、うまく成長すれば大化けしそうな感じです。インディーズ映画をみる楽しみって、原石のような俳優を見出すことなんですよね。

 そして、アニメと現実が交錯したような世界観もいい。自分は単なる操られるロボットでなく、自分自身で考えて生きていかなければならないというのは、実際の人間もそうなわけです。スプラッター映画がどんどん生き方の哲学に伝わっていき、純愛へと向かうプロットはゾクゾクしました。

 ただ、シナリオ的には僕自身とあわないところがあって、せっかく、舞を丁寧に描いているので、もう少し長くなってもいいから殺人鬼側の事情も描いてほしかった。舞をいじめる両親をはじめ、周囲はある意味典型的な薄っぺらいキャラクターなので、殺人鬼はもっとふくらましてほしかったかな。どんな人間を標的にしているのかもそうですし、特にラストの立ち回りは、こういう世界観だったら警官隊を皆殺しとか進めばいいのに、ちょっと戦う相手が違うのではないかという気がしちゃいました。廚二病でなく現実に生きろという意味をこめていたのだとしたら、伝わりにくかったかな。

 それから、コスプレの仮面のせいかもしれませんが、殺人鬼のセリフが聞き取りずらいところがありました。このこともあって殺人鬼側の魅力が今一つわからなかった。まあ、そんな欠点を補って余りあるほど、アニメや武器も含めた美術、ライティング、なによりヒロインの魅力はたまらなかったけど。
posted by 映画好きパパ at 07:26 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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