作品情報 2021年日本映画 監督:奥田裕介 出演:カトウシンスケ、高橋長英、吉行和子 上映時間:115分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞22本
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【ストーリー】
独身で一人暮らしを楽しんでいた野村孝秋(カトウシンスケ)は、横浜の古い団地で老々介護をしている両親(高橋長英、吉行和子)のところに久々に行き、父の忠義が認知症で息子の顔さえわからなくなっていることにショックを受ける。
台風の日、実家の隣の部屋のベランダから植木鉢が落ちて、下を歩いていた人に直撃する事故が起きた。植木鉢の所有者(篠原篤)は遺族から損害賠償請求を受け、近所から村八分です。しかし、事故直後に実家を訪れた孝秋とヘルパーの長谷川(村上穂乃佳)は、家に一人でいた忠義の様子から彼が植木鉢を落としたのではと疑念を持つ。でも、認知症なので確かめることができずに…
【感想】
いや介護をしている身としては、本当に怖かった。我が家でも目を離したすきに他人への加害者になったらどうしよう。24時間監視をするなんてできませんし。また、将来自分が認知症になったときにこんなことが起きたりしないのか。安楽死があったほうがいいのか考えちゃいました。
一方、この作品が複雑なのは主人公の兄が交通事故で亡くなっており、野村家は被害者遺族の立場でもあること。また、植木鉢事故の被害者の息子で小学生の相太(太田琉星)が、孝秋を父親代わりに見立てる疑似親子関係になり、相太の母の灯(和田光沙)ともども一家ぐるみの付き合いになることです。
調査を進めて父親が加害者となれば、老いた両親には耐えられない打撃になります。一方で、相太にも頼られることで、根が小心で善人の孝秋は迷います。孝秋と灯は事故遺族のカウンセリンググループに参加し、リーダー(大石吾朗)から加害者を断罪する言葉を聞きます。人は立場によってどう行動するのか。家族にとっての真実と正義は何なのか。主人公のカトウシンスケ、老親役の高橋長英、吉行和子から子役まで芸達者がそろっていて、地味な作品なのに目が離せません。
横浜の名画座シネマジャック&ベティの30周年記念作。奥田裕介監督は子供のころからこの映画館に通っており、30周年といってもお祭りのような作品でなく、シネマジャック&ベティでかけるのにふさわしい作品を制作したかったとのこと。もやもや感も含めて、この映画館の作品らしいと納得させられました。
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