2022年03月01日

エッシャー通りの赤いポスト

 映画はお祭りで人生だ! 僕の大好きな園子温監督が帰ってきました。序盤のすっとぼけた演出から始まり、クライマックスで噴出するアドレナリン、そしてエピローグの熱い思い。映画って本当にいいですね。

 作品情報 2020年日本映画 監督:園子温 出演:藤丸千、黒河内りく、山岡竜弘  上映時間:146分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞24本



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 【ストーリー】
 若き天才映画監督、小林正(山岡竜弘)は、新作映画のキャスティングをプロアマ問わずすべてオーディションで選ぶと宣言した。オーディション会場には様々な事情を抱えた応募者が集まってくる。一方、プロデューサーの武藤(諏訪太朗)は業界の大物、山室(渡辺哲)から人気女優を主役にするようねじこまれるのだが…

 【感想】
 「カメラを止めるな」で話題になった俳優のワークショップ。園監督は今回、ワークショップ参加者で映画を撮ることを条件に開催。応募者から51人を監督自ら採用しました。オーディションを受ける場面や、登場人物の境遇などの設定には実際のワークショップのオーディションの内容も反映しているそうです。

 オーディションを受ける女優役の藤丸や黒河内、監督役の山岡ら主要キャストはオーディション組。そこへ、諏訪、渡辺、吹越満といった園組のベテラン俳優が加わります。異色なのは大ベテランの藤田朋子で、芸歴が長いにもかかわらず自らオーディションを受けたとか。そうしたチームワークの良さが映画を楽しいものにした原動力なのかもしれません。

前半は、オーディション参加者の群像劇。いかにも朗読調だったり、大仰なセリフ回しだったり、園映画特有の演出が続きます。さすがに寒い部分も多いのですが、普通の映画ではないということを教えてくれます。だんだんテンションが上がる一方、武藤、山室の演技に関係なく女優を押し付けようとする陰謀もあり、これは実際に園監督も経験したのでしょうか。それは悩む小林監督を叱咤激励する恋人役の方子(モーガン茉愛羅)ら、映画を純粋に楽しみ、良いものにしようという人たちと対立軸になっています。モーガンは「地獄でなぜ悪い」のスタッフたちのような、映画マニアのぼんくらが夢見るようなミューズになっています。

 クライマックスはオーディション落選者もエキストラ役として参加する、商店街での群衆シーン。低予算でアクションなど特段の仕掛けがないのに、ワクワクドキドキがたまりません。観客も一体となって、映画を盛り立てようという気持ちにしてくれます。それは観客たちも、自分の人生においてはエキストラではない確固たる主役であり、映画と一緒に輝ける存在だと気付かせてくれるからでしょう。
 
 園映画でおなじみの豊川での大々的なロケ、そしてクラシックを多様するBGMと、懐かしいや「紀子の食卓」のメインテーマのニューバージョンと音楽も最高。なにより、赤いポストに代表される、園映画ならではの色彩感もたまりません。そして、エピローグでの熱い情熱のほとばしりは、コロナ前の撮影にもかかわらず、何もかも閉塞された今の世の中のアンチテーゼとして燦然と輝いています。万人向けの作品ではないですが、心に響く人にはたまらない傑作でした。


posted by 映画好きパパ at 06:03 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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