2022年03月02日

リーマンブラザーズ最後の4日間

 2008年、アメリカの大手投資銀行リーマンブラザーズが破綻するまでの4日間を、リーマン幹部やアメリカ経済界のトップの姿を通じて描いた、BBC製作のドキュメンタリータッチの作品。リーマンショックの翌年に作られた素早さには驚きです。

 作品情報 2009年イギリス映画 監督:マイケル・サミュエルズ 出演:コーリイ・ジョンソン、ジェームズ・クロムウェル、マイケル・ランデス  上映時間:52分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:アマゾンプライム  

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 2008年9月12日金曜日。リーマン・ブラザーズのCEOディック・ファルド(コーリイ・ジョンソン)は憔悴しきっていた。サブプライムローンの破綻から巨額の負債を抱えてしまい、月曜日には資金がショートしてしまう。倒産を回避するため、ポールソン財務長官(ジェームズ・クロムウェル)やウォール街の大物たちに泣きつくが、相手にされない。ポールソンは金融システムを安定させるため、他の大手金融機関は自分たちの身を守ることで必死だった。最後の手段をとったファルドだったが…

 【感想】
 基本的に登場人物は実名で、唯一、ファルドの補佐官ザック(マイケル・ランデス)が架空の人物。彼がいろいろ解説してくれるので、舞台裏でどんなことが起きていたのかよくわかります。ただし、劇中、人物の紹介はされていません。ジェイミー・ダイモンといえばJPモルガンのCEO、ケン・ルイスといえばバンク・オブ・アメリカのCEOといったように、どの金融機関のトップがだれで、リーマンショック時にはどのような立ち位置にいたのかをしらなければ、何がなんだかさっぱりわからないでしょう。また、4日間のNY経済界の動きに絞ったため、政界や日韓を含めた海外の動きは省略されています。

いけいけだったファルドは、リーマンのブランドを過信しすぎたため、ライバル金融機関たちに裏切られ最悪の結末を迎えてしまいます。ポールソンがゴールドマンサックス出身ということに毒づく場面がありますが、実際、どの金融機関を助け、どこを見捨てるかは、ポールソンの意向が大きかったのですから、一罰百戒の矛先がリーマンに向かってしまったのはやむを得ないのでしょうね。

 大金持ちのウォール街のトップたちも、一皮むけば品のない似非紳士ばかり。その下は日本企業もびっくりするほど過労死させられそうな業務にまい進されます。まったく意味のないニセモノともいえる金融商品をみんなで祭りあげ、リーマン以外の生き残ったところは政府からの資金を美味しくいただいたのをみると、金融業界のあこぎさはどこも変わらないなとしみじみ。

一方でファルドは自分の身の丈が分からなかったわけで、攻撃がうまいリーダーも守りに入れば弱いというのがよくわかります。リーマンの社員はたまったものじゃないと思うけど、それまで大金をもらっていたから自業自得ともいえるでしょう。大きすぎる金融機関は問題だらけだということがよくわかります。今後もまたこうした金融不祥事というのは起きるんでしょうね。
posted by 映画好きパパ at 06:51 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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