作品情報 2018年フランス映画 監督:ジャン=ポール・ルーヴ 出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ジョゼ・ガルシア、ジャン=ポール・ルーヴ 上映時間:105分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞40本
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弁護士のローラ(リュディヴィーヌ・サニエ)には解体業者のピエール(ジョゼ・ガルシア)と眼鏡屋のブノワ(ジャン=ポール・ルーヴ)という2人の兄がいる。2人とも中年なのにどこかずれたところがあり、しっかりもののローラがフォローしてきた。
ブノワの結婚式なのに仕事優先のピエールは大遅刻。しかもメインスピーチで花嫁の名前を忘れてしまうという失態に、花嫁のサラ(ポリーヌ・クレマン)は大激怒。ブノワはピエールと喧嘩しだして、ローラは家族を取り持つのに大わらわ。ところが、ピエールは工事の失敗の責任を取らされクビになってしまう。一方、ローラは離婚裁判で知り合ったゾエール(ラムジー・ベディア)といい感じ。そんななかサラが妊娠したのだが…
【感想】
短いエピソードをつなげながら、3きょうだいや周囲の日常を描いています。フランス映画ぽく男と女の心理についても鋭く描きますが、すごいほんわかしていて露骨な描写はありません。なにより、時折喧嘩はするけど心底では互いを信頼しあっている3きょうだいと、彼らの家族もまた3人をあたたかく見つめているという、主要キャラが善人ばかりなのがいい。
といって、日本の日常系のように緩い話ばかりではありません。ピエールは失業して職探しをしますが、中年がどこも厳しいのは一緒。妻サビーヌ(フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー)とは別居し、男手一つで育てている息子のガブリエル・ナカーシュ(ロミュ)はケンブリッジ大に留学できる優秀さですが、その学費に頭を痛めています。ブノワも3度目の結婚というのに、女性とうまく接することができず、サラとのすれ違いも。ローラもこの年になっての恋愛に臆病になっています。現実はなかなか厳しい。
でも、結局、こうした難関を救うのは家族の絆なんですよね。成人したきょうだいがこんなに仲が良くて、しかもべったりにならないですむ関係というのは珍しい。だれもがどこかで共感できそうなエピソードや心情を交えているので、フランス映画だけどまるで日本のどこかで似たようなことが起きているのではと思ってしまいます。
元妻2人とサラが女子会を開いてブノワをとっちめたり、毎月両親の墓参りをするのに喧嘩ばかりする3人が、隣の墓参りをしているおじいさんにからかわれたり、脇役の使い方もうまい。人生、捨てたもんじゃないね、人間って暖かいねというのを教えてくれる作品です。
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