2022年03月21日

コーダ あいのうた

 聴覚障害者一家に生まれた女子高生の夢と家族愛を描いた2014年のフランス映画「エール」のハリウッドリメイク。Hな下ネタが多いのはフランス映画だからと思ってましたが、ハリウッド版もしっかりあって笑えました。

 作品情報 2021年アメリカ、フランス、カナダ映画 監督:シアン・ヘダー 出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、マーリー・マトリン  上映時間:112分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎  2022年劇場鑑賞43本



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 【ストーリー】
 漁師のロッシ一家は娘のルビー(エミリア・ジョーンズ)を除いて全員聴覚障害者。ルビーは朝から父のフランク(トロイ・コッツァー)の漁船に乗り込んで作業を手伝い、業者との通訳をした後、学校へ行く忙しい日々を送っていた。

 新学期、合唱部に入ったルビーは普段、聴覚障害者ばかりと話しており自分の声に自信がなくて逃げ出してしまう。だが、顧問のベルナルド(エウヘニオ・デルベス)はルビーの才能に気付き、彼女を指導。ルビーが憧れていた男子生徒マイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)とともに合唱部の中心となる。ベルナルドは都会の音大への進学をすすめるが、家族と離れるとみんなが困るだろうと悩んでしまい…


 【感想】
 オリジナルは牧場だったのがリメイクでは漁師に変更されました。漁師のほうが、僚船の汽笛や港からの無線が聞こえないと困るため、より深刻。実際にルビーがいないときに大きなトラブルが起きてしまいます。そのため、ルビーは自分の夢と家族への愛の板挟みになってしまいます。これって障害者一家だから際立っているけど、僕の場合も親の介護のために仕事や自分の家族が犠牲になっているため、ルビーの悩み、苛立ちに痛いほど共感しました。

 一方、父のフランクや母のジャッキー(マーリー・マトリン)は能天気なほどポジティブ。家族愛に満ちていますが、それがいきすぎると娘の夢を壊してしまうことに気付きません。これまた障害に関係なく、親はいつまでも子供と思っても、成長した子供にとってはうざいだけという親子関係をきっちり描いています。兄のレオ(ダニエル・デュラント)が双方の気持ちがわかってイライラするというのもいい。

 家族愛と同時にベルナルドによる指導、最初は反目していたマイルズとの仲が、合唱部の活動を通じてどんどん接近するという青春映画の王道的ストーリーも楽しめます。通常、青春映画というと家族パートはバッサリ削られるのですが、家族、音楽の勉強、恋愛とどの要素もうまく組み合わせているのがいい。なにしろ、聴覚障害者の家族に自分の歌がうまいかどうか通常なら伝えられないわけです。でも、3つを組み合わせた展開に十分納得できます。

 家族役の3人の俳優は実際にも聴覚障害者。それだけに日常生活でちょっとしたトラブルに巻き込まれたり、疎外感にあったりするシーンはリアル。同時に超がつくほど元気で、わがままな部分も含めて人間らしいというのもリアルでした。さらに、演出もそれをいかした、「おおー」とうならせる工夫もしています。これまで上品な役柄が多かったマーリー・マトリンが、
下ネタ大好きの漁師のおかみさんになりきっているのも見所。そして、数百人からオーディションで選ばれたというエミリア・ジョーンズの素朴だけど芯の強そうな風貌がなんとも物語にマッチしていました。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(2) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フランス映画のハリウッドリメイクだったのですね、知りませんでした。
でもこのハリウッド版でしっかり涙腺刺激されましたw
終わり方がさわやかでいいですね。
Posted by 西京極 紫 at 2022年03月23日 09:11
コメントありがとうございます。
どちらも家族の絆をしっかりえがいた青春映画です。
機会があればオリジナルもみてください
Posted by 映画好きパパ at 2022年03月24日 06:16
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