2022年03月29日

アンネ・フランクと旅する日記

 アンネの日記をもとに、「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン監督が過去と現在を結んで抒情たっぷりに描いたアニメーション。現実にウクライナで戦争が起きていることも想起され、悲しくてたまりませんでした。

 作品情報 2021年ベルギー、フランス、ルクセンブルグ、オランダ、イスラエル映画アニメ 監督:アリ・フォルマン 声の出演:ルビー・ストークス、エミリー・キャリー、マイケル・マロニー  上映時間:99分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ  2022年劇場鑑賞53本



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 【ストーリー】
 第2次大戦中、ナチスのユダヤ人狩りから一家で隠れていた少女アンネ・フランク(声・エミリー・キャリー)が書き、今でもベストセラーになっている「アンネの日記」では、キティ(ルビー・ストークス)という架空の友人にあてた内容になっている。現在のアムステルダム。博物館に展示されていた「アンネの日記」からキティが飛び出す。彼女は日記が書かれてから70年以上たっていることを知らず、アンネの行方を探しにいくのだが…

 【感想】
 物語はユダヤ人迫害で隠れすむ1940年代と現代を交互に映し出します。キティは現代で実体化したけど、博物館内では他の人に姿がみえません。日記を読むことで過去に戻ります。しかし、博物館の外にでると彼女の姿は他の人にもみえるようになります。

 アンネ一家の悲劇は、史実をもとにしながらも幾分デフォルメして描かれます。ナチスは死神のようなお面をかぶっています。また、自由だったころのアンネの様も、隠れ家での窮屈な生活も、アンネの日記によるものだから、彼女の主観がたっぷりはいっているためからでしょう。

 一方、現代のシーンはよりリアルに描かれています。アンネの博物館を開館前から行列して並ぶ世界中の観光客は、すぐそばの道でホームレスとなっているシリア難民の子どもたちに無関心です。子どもが戦争の被害に遭うというのは同じ構図なのに。キティはアンネ駅、アンネ劇場など、アンネの名前が付いた施設があちこちにあるのに驚きますが、結局、みんなアンネの名前だけありがたがって、その精神については深く考えていないということなんでしょうね。

 アンネもキティも等身大の少女として描かれ、ともにペーターと名乗る少年と親しくなります。現代のペーター(ラルフ・プロッサー)は移民ですりをしながらその日をしのいでいます。70年たっても貧富の格差、人種差別はなくならないのに、アンネ形ばかり拝む人々を痛切に皮肉っています。フォアマン独特のソフトなアニメーションのタッチで緩和されるものの、観ているこちらに、お前はそれでいいのかと突きつけられているよう。なお、本作はアンネ・フランク基金の全面協力で制作され、フォアマン監督も両親がアウシュビッツの生き残りです。戦争について真剣に問われていることがわかります。

 そして、今、ウクライナでは大勢の子どもたちがアンネと同様に命の危機におびえています。その子どもたちのために何ができるのか。日本でも、ウクライナの責任だとかひどいことをいう有名人がいます。そうした人たちの残酷さは時代も場所も変わらずあるのだということで、気分が暗くなってしまいます。それでもアンネは人間の善性を信じていました。果たして人間はそこまで価値のある存在なのか、見終わったあとも自分のなかで消化するのが難しい作品でした。

posted by 映画好きパパ at 06:04 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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