作品情報 2019年日本映画 監督:錦織良成 出演:甲本雅裕、戸田菜穂、奈良岡朋子 上映時間:113分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞114本
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【ストーリー】
島根県の高津川沿いの農村で牧場を営む斉藤学(甲本雅裕)は妻を亡くして、母絹江(奈良岡朋子)と、大学卒業後地元に戻ってきた長女七海(大野いと)、高校生の長男竜也(石川雷蔵)の4人暮らし。竜也が地元に伝わる御神楽の練習に出てこないのが気がかりだ。
過疎化のため小学校が閉校されることになった。学は同級生で和菓子屋の跡取りの大畑陽子(戸田菜穂)らと、最後の運動会に全国に散った卒業生を呼ぶお別れ会を企画するのだが…
【感想】
田舎はすべて正しく、老親の面倒は子どもが犠牲になってみなければいけない。そんな考えに賛成する人はこの映画は満点でしょう。日本の原風景といえる農村や清流の風景に、ベテランから若手までバランスよくそろえた役者がマッチしていました。感動的≠ネエピソードも盛り込まれ、周囲ではすすり泣きも。まあ、こうなると価値観の違いとしか言いようがありません。
陽子は一人娘で、老母の認知症の介護をしながら店の後継ぎになるため、結婚ができません。それを聞いた同級生で東京の弁護士の大場誠(田口浩正)は施設に預ければいいといいます。しかし、学をはじめ村人たちは彼のいうことを一斉に無視。面と向かって反対はいわないくれに、その空気のいかにも日本の田舎的な押し付けに辟易としました。
その誠も老父(高橋長英)が認知症だとわかり、東京での生活を投げ捨てて農村に戻ろうとします。高齢者の多い観客席はすすり泣きもすごかったのだけど、農村で弁護士なんて食えるわけがないでしょう。妻や子どもだったら、そんな事情でいきなりド田舎に連れてこられたら、それこそ離婚を切り出されてもおかしくない。子どもの人生を介護でつぶすのはおかしいと思う。でも、そんな事情は関係なく、ひたすら田舎の人間関係は正しいという論理で押し切っていきます。
過疎化への問題意識があるのか、若い世代の七海や竜也も故郷の良さをたたえるばかり。御神楽は迫力がありましたが、長すぎるのではと思ってしまいました。僕は田舎のねちょっとした人間関係が嫌いなので必要以上にシビアにみましたけど、そういうことが気にならない人にとっては秀作といえましょう。
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