作品情報 2022年日本映画 監督:鈴木太一 出演:木幡竜、鎌滝恵利、今野浩喜 上映時間:119分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞120本
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【ストーリー】
ベテランプロボクサーの鏑木創太(木幡竜)は長年の試合で全身ボロボロになり、とうとう引退に追い込まれた。恋人の幸子(鎌滝恵利)と結婚し、ジムの会長(火野正平)の紹介でサラリーマンになるが、これまでボクシングしかしてこなかった創太はろくに仕事ができない。
2人の親友で売れない俳優の松岡健児(今野浩喜)も妻絵美(長井短)と幼い子供がいながら、いつまでもくすぶったままだった。とうとう仕事をクビになった創太の前に、地下格闘技の主催者新堂(柳俊太郎)が現れて勧誘する。そんな彼を心配していた幸子との仲も…
【感想】
木幡竜も元プロボクサーで、中国で俳優として活動する一方、日本でもドラマ「アバランチ」で綾野剛との壮絶アクションで話題を呼びました。45歳で初主演という遅咲きですが、本作ではベテランボクサーならではの悲哀と壮絶なアクションをしっかりみせてくれます。
ヒロインの鎌滝は20歳年下ですが、なぜか創太と幸子は幼馴染設定で、脚本というか配役に首をひねってしまいました。しかし演技自体は抜群で、創太を愛するあまり試合を見に行けずに、心配のあまりショックを受けるという役柄、そして人生の辛酸をなめてきただろう2人だからの激しく本能的なラブシーンをしっかりこなしています。
ストーリーはよくあるものかとおもったら、創太と幸子の設定にひとひねり加えているのには驚きました。キモイ男をやらせたら天下一品の黒田大輔がいいアクセント。ただ、幸子は若い美人にしかみえないので、ここでももし40代半ばの女優が演じていたらどうだったろうという気も。
一方で、単に格闘映画で終わらないのは松岡夫婦がいい対比になっているから。松岡も創太も人生の負け組で、映画「ロッキー」に狂わされたと自嘲します。しかし、はたから見れば負け組かもしれないけど、中年になって必死に夢へ向かってもがく姿こそが人生の勝利者ではないかと思わされます。そしてクライマックスの試合シーンは、ここまでの格闘シーンの集大成。名アクション監督の国村健介が手掛けているだけあり、見ごたえ十分。このアクション場面だけで、入場料のもとはとれたと思います。
鈴木監督作品ははじめてみましたが、木幡、鎌滝とも知名度はないので(今野、長井のほうがあるでしょう)、3人がこれからどういう作品に出るのかチェックする楽しみが産まれました。
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