2022年05月30日

ハケンアニメ!

 アニメ業界を舞台にしたお仕事ムービー。非常に心地よく作られており、実写版「SHIROBAKO」といったところ。僕のようなライトなアニオタにぴったりの作品でしたが、ウェルメイドすぎるところがちょっともったいないかも。

 作品情報 2022年日本映画 監督:吉野耕平 出演:吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子  上映時間:129分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ  2022年劇場鑑賞121本



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 【ストーリー】
 新米アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)は、土曜夕方のアニメ番組に抜擢された。その同時間帯に、アニメ界の天才といわれた王子千晴監督(中村倫也)の7年ぶりの新作が決まり、どちらが勝つか大きな話題を呼んでいた。

 厳しいプロデューサーの行城(柄本佑)の無茶ぶりに息も絶え絶えの瞳。一方、王子監督は突然姿を消すなど気ままな行動で、担当プロデューサーの有料(尾野真千子)は真っ青になる。やがて放映直前のアニメイベントで王子と対談した瞳は、視聴率などで圧勝する「ハケンをとる」と宣言する…

 【感想】
 配信がほとんど無視されるなど僕でもあれっと思う設定があります。そもそも今では配信が多くて、同時間に放送するコンマ以下の視聴率の差なんてそんなに話題にならないでしょう。原作がちょっと古いこともありますし、劇中で「1億総アニメオタク」と言われていたので、現代の日本とはちょっと違った世界だと割り切れば面白い。普段、なんとなく見ているアニメーションに、いかに多くの人がかかわり、人生をかけているかがよくわかります。

 瞳は女性の新人ということで、周囲からのやっかみや冷やかな視線があり、それを蹴散らそうと空回りします。そのなかで無茶ぶりにみえた行城の指示は実は的確であり、彼女は少しずつ成長していきます。一方、王子のわがままに手を焼いた有料も、彼の天才ぶりと彼のアニメに感動を受けたことを思い出し、アニメに情熱をかける初心を思い出します。主役4人がそれぞれ違った役割なので、お仕事映画としてはいろんな立場から見られ、なかなかのすぐれものです。

 さらに、才能を持ちながらも女性ならではの苦労をするアニメーターの前澤(小野花梨)、アイドル声優とバカにされつつ必死にはねのけようとする葵(高野麻里佳)、瞳の隣人の小学生でいじめられっ子の太陽といった登場人物のエピソードもえがき、アニメや仕事への思いを見ている人に呼び覚まします。

 吉岡は本作が代表作になるのでは。柄本のクールな上司ぶりもいいし、中村の王子様キャラ、尾野の振り回されキャラは定番的とはいえ見ていて安心できます。そして、小野、高野といった脇役まで映画のテイストにあった配役にすることで、物語の世界に違和感なく溶け込めます。ガンダムやエバの名セリフがさりげなく入るのもいい。

 劇中アニメをどう描くかも難しいのですが、梶裕貴、潘めぐみら実力、人気声優をずらりとそろえて、それぞれ見てみたいと思わせる作品がでていました。単に劇中アニメに終わらないところがいい。50代の僕でもエヴァやまどマギといったアニメに感銘を受けました。一番人生に影響を与えたアニメは秘密ですが、人生それで狂ったかも(笑)。まして若い世代にはもっとアニメは普通に溶け込み、だれしも思い入れがある作品があるでしょう。そうした熱い気持ちにきっちり答えてくれる傑作でした。
posted by 映画好きパパ at 06:03 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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