2022年05月31日

ワン・セカンド 永遠の24フレーム

 中国の巨匠、チャン・イーモウ監督が映画をフックに描いたノスタルジー映画。中国人には懐かしいだろうけど、日本からするとどうかなあ。登場人物の行動にちょっとひいてしまいました。

  作品情報 2020年中国映画 監督:チャン・イーモウ 出演:チャン・イー、リウ・ハオツン、ファン・ウェイ  上映時間:103分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ  2022年劇場鑑賞123本



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 【ストーリー】
 文革のころ、砂漠に隣接する辺境の集団農場では数カ月に1度の映画上映が最大の娯楽だった。そこへ一人の男(チャン・イー)がやってくる。彼は映画に付属したニュースフィルムに自分の娘が1秒だけ移っていることを知り、労働改造所を脱走してきたのだ。

 ところが、フィルムの一部を地元の少女(リウ・ハオツン)が盗んでしまう。何とか取り戻そうとする男だったが…

 【感想】
 ベテラン、チャン・イーモウの映画愛とノスタルジーにあふれています。映画が辺境では大きな娯楽で、映写技師(ファン・ウェイ)は町の名士的な存在。フィルムは村から村へ運ばれ、狭い体育館の幕に映し出される映画に村中が熱狂し、日頃の苦労を忘れていたという様子は、配信を自宅で楽しむ現代では考えられません。当時のほうが純粋に映画を楽しんでいたといえましょう。上映にあたって思わぬアクシデントがありますが、村民総出で対処しようというのは何ともほほえましい。

 そうした庶民にとって、ニュースフィルムに1秒でも映っているというのは大変な名誉。収容所に入れられて何年も娘にあっていない男にとって、ニュースフィルムは映画本編と違って保存されないのだから、脱走してまで観たいという熱い思いは理解できます。

 一方で、少女がフィルムを盗んだ理由も切実なもの。貧しく、親に捨てられて名前すらない彼女にとり、それは未来の切符へとつながるものでした。男は人民服ばかりだし、女も薄汚れた服しかなく、食べ物もろくにない。そんな貧乏な中国も現代では考えられず、中国の年配者にとってノスタルジーをかきたてるというのも理解できます。

 ただ、あまりにも2人が自分勝手というか、必死なのはわかるけれど…という行動に終始していたため、話に入り込めず。また、文革のころとはいえ政府に逆らうことは中国映画で許されないのも残念。逆に貧困や社会の不公平をよく描けたと驚きますし、オチはなかなか良かったのですが、とはいえ、露骨な政府批判は無理ですからね。 

 リウ・ハオツンは映画初出演で、イーモウ監督がオーディションで抜擢した新星。存在感はさすがのもので、イーモウ監督はこれまでもチャン・ツィイーやコン・リーらを無名の新人から大スターになるまで育て上げており、今後が楽しみです。 
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posted by 映画好きパパ at 06:03 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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