作品情報 2019年イギリス映画 監督:ピーター・カッタネオ 出演:クリスティン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン、ジェイソン・フレミング 上映時間:112分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2022年劇場鑑賞127本
【ストーリー】
アフガン戦争に出征したイギリスの陸軍基地で、残された家族は無事を祈って不安な日々を過ごしていた。部隊長のリチャード大佐(グレッグ・ワイズ)の妻ケイト(クリスティン・スコット・トーマス)は、部下の家族を励まそうと合唱団を結成する。
しかし、自分の重いだけで空回りするケイトは、下士官兵の妻の取りまとめ役リサ(シャロン・ホーガン)と衝突ばかり。一方、リサは義理の娘フランキー(インディア・リア・アマルテイフィオ)の反抗期に頭を悩ましていた。なんとか活動を始めた合唱団だが、なんとロンドンで開かれる全国戦没者慰霊祭に招待されることになり、いきなりテレビの全国中継でライブをしなければならなくなる…
【感想】
原題は「MILITARY WIVES」。日本の銃後の妻のイメージとはまったくちがうアクティブなイギリス軍人の妻たち。基地内の閉ざされたコミュニティに住むストレスのうえ、実際に夫を戦地に送りだしたら不安でたまらないでしょう。上官の妻が率先して部下の家族のためにレクリエーションを提案していくというのは、ちょっと驚きました。アメリカなど他国でもあるのかなあ。
もう一つ驚いたのは、夫同士は上下関係があるけれどそれを家庭に持ち込まないということです。リサはケイトに敬意をいだいているものの、音楽活動の方向性の違いには容赦しません。また、大佐の妻ゆえに兵隊の家族の苦労がわからないといったところもビシバシ指摘。日本で部長の妻に平社員の妻がこんなにガンガンいえるかというと微妙ですし、独立した人間関係があるからでしょう。
基本的にコメディベースですが、ケイトの息子は戦死しているなど軍人の家族ならではの悲しいできごとも盛り込まれています。けれど、みんなで合唱していくうちに、そうした悲しみや音楽性の違いなんかが吹き飛んでしまうシナリオは心地よい。また、ケイトとリサだけでなく、ソロを担当するのは小太りのジェス(ギャビー・フレンチ)といった感じで、脇役にも目配りしているのがいい。
ただ、肝心の音楽が僕にははまらなくて、シンディ・ローパーやエルトン・ジョンのヒット曲のほか、彼女たちが夫への思いをこめて作るオリジナル曲も今一つストーリーにはまってるとは思えませんでした。このへんは感性の違いなんですけど、やはり音楽映画は音楽にはまらないと、ちょっと評価が厳しくなってしまいます。
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