作品情報 2022年日本映画 監督:秋山純 出演:神尾楓珠、尾野真千子、佐藤浩市 上映時間:136分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2022年劇場鑑賞128本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
市立船橋高校の吹奏楽部でトロンボーンを吹く、浅野大義(神尾楓珠)は、顧問の高橋(佐藤浩市)にしごかれながら、仲間たちと日々練習に励んでいた。そして3年のとき、野球部の応援テーマ曲「市船ソウル」を完成させる。そんな大義を母の圭子(尾野真千子)ら家族も応援した。
卒業後、高橋のような音楽教師になりたいと大学に進学した大義は恋人の夏月(福本莉子)と幸せなキャンパスライフを送っていた。しかし、体調を崩した大義は病院を受診したところ、肺がんだと診断される…
【感想】
原作者の中井由梨子が脚本にあたったためか、あれもこれもと盛り込もうとして全体的に散漫な印象を受けました。つい数年前まで実在した人物を描いたからしかたがないとはいえ、吹奏楽部の友人は男性3人、女性2人と多いうえ大学時代になったら恋人までできるのだから、各キャラクターとのエピソードが薄くなります。
また、市立船橋高校は常識で、制作者側が当然の前提としならがも、なんでそうなるのか分からないところもあります。よさこいソーランで踊りまくるシーンが何回かでてくるのだけど、青春の象徴をだしたいとはいえなぜ吹奏楽部がよさこいソーランかもわかりにくい。
家族も母親役が尾野真千子で強烈な存在感を放つ一方、父親役はベテラン脇役の菅原永二
、妹役が若手の池田朱那で尾野ばかりがクローズアップされる感じ。エピソードの数も多く、学校、家庭ともぶつ切りになってしまった感はいなめません。
それでも実際に命を燃えつくした大義の青春というのはまぶしく、その映画としてのポテンシャルは非常に高い。ここのところ売れっ子の神尾の演技も弱点はなく、佐藤、尾野らベテランと伍しても全く問題ないのはさすがです。その点、ヒロインの福本はもうちょっと演技の幅を広げてほしいなと思いました。演技初めてで、実際の市船の吹奏楽部長で、映画でも部長役をした佐藤美咲のほうが溶け込んでいました。
エンディングロールの名場面集も含めて、長くても丁寧につくられている秀作といえましょう。船橋とは縁もゆかりもない僕だけど、今後、甲子園の中継で市船ソウルが聞こえてきたら、耳をそばだててしまうに違いありません。
【2022年に見た映画の最新記事】