作品情報 2021年アメリカ映画 監督:エベラルド・バレリオ・ゴウト 出演:アナ・デ・ラ・レゲラ、テノッチ・ウエルタ、ジョシュ・ルーカス 上映時間:103分 評価★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2022年劇場鑑賞130本
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【ストーリー】
一度は廃止されたパージが復活したアメリカ。メキシコからテキサスにやってきた不法移民夫婦、アデラ(アナ・デ・ラ・レゲラ)とホアン(テノッチ・ウエルタ)は初めてのパージを迎えようとしていた。
大牧場で働くホアンは雇い主のケイレブ(ウィル・パットン)は温厚だが、長男のディラン(ジョシュ・ルーカス)とそりがあわない。アデラは食品加工工場で昼も夜も働いている。2人はメキシコ移民仲間に守られ、パージの夜を乗り切った。だが、一晩だけのパージでは不満だとする白人至上主義者たちが「フォーエバー・パージ」と叫び、パージ終了を無視して暴れだし、国中は大混乱に陥る。
【感想】
2013年に1作目が作られたときは、10年近く続く人気シリーズ(テレビドラマ版もあり)になるとは予想しなかったでしょう。一晩だけ殺人を含む犯罪が許されるという廚二病的発想ですが、各話ごとにストーリーをひねっており、アメリカのシリーズものではお気に入りの一つです。
ただ、1作目のパージが平凡な家族の目を通して、普段親しくしている友人や近所の住民が突然豹変する怖さをだして、等身大のスリラーとして面白かったのに比べると、スケールアップした分、本作は非常に大味。なにしろ戦車まで出てくるわけですから。なんで軍隊が暴徒に弱いのかと突っ込みたくなるけど。パージを主人公グループたちが脱出しようとするプロットはシリーズ通して同じですが、本作は主人公グループが強すぎてやられる感じがしないのですよね。それもちょっとマイナス。
また、3作目の「大統領令」では黒人女子高生の狂ったビッチ集団がでてきましたし、4作目の「パージ・エクスペリメント」も黒人の若者のギャング集団がいましたけど本作の悪役は基本的にマッチョで貧乏な白人ばかり。トランプ政権以降のアメリカを皮肉っているのでしょうけど、主人公たちがアメリカを捨てて自由の国メキシコへ逃げ出そうとしたり、メキシコ不法移民がリベラルな金持ちやネイティブ・アメリカンと協力して、貧乏白人たちの悪役に逆襲したりというのはいかにも政治的でした。こういう構図だったら「マン・ハント」のようにリベラルを悪役にして思い切り皮肉ったほうがまだ面白い。
とはいえ、パージの狂った設定は好きなので、本作が完結編というのはちょっと寂しい。どうせ完結編なら1作目のイーサン・ホークや2、3作目のフランク・グリロといった過去作の登場人物をどこかでだしてほしかった気がします。単体では迫力があって笑えるアクションなので、悪くはないのですけどねえ。
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