2022年06月11日

犬王

 豪華スタッフによるオリジナルアニメだけど、室町時代の能がテーマということもあり客足は今一つ。僕自身、はまりきれないところがありました。テレビの劇場版よりもオリジナルアニメのほうに頑張ってほしいのだけど「バブル」といい失速続きで不安ですね。

 作品情報 2021年日本映画アニメ 監督:湯浅政明 声の出演:アヴちゃん、森山未來、柄本佑  上映時間:98分 評価★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン  2022年劇場鑑賞134本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
 【ストーリー】
 南北朝時代、壇ノ浦の漁師の息子、友魚(森山未來)は、平家とともに海で失われた草薙剣の呪いで、父(松重豊)を殺され、自分も失明した。友魚は呪いをとくために琵琶法師となり京へ向かう。

 同じころ、猿楽の名門、比叡座に産まれた犬王(アヴちゃん)は異形の形をしており、父(津田健次郎)から疎まれ、いじめられる。しかし、天性の音楽の才能をもつ犬王は、偶然、友魚と出会ったことでまったく新しい音楽パフォーマンスを産みだし、世の中を熱狂させていく。将軍足利義満(柄本佑)はそのことに危機感を抱き…

 【感想】
 原作がアニメ「平家物語」の記憶も新しい古川日出男、脚本が今を時めく野木亜紀子、キャラクター原案が松本大洋、音楽が大友良英と超豪華な顔ぶれ。さらに、現代から室町に遡るオープニングで、室町と現代がつながっていることを明らかにし、権力者による文化の抹殺や、それにどう対抗するのかなど極めて現代的なテーマをもった意欲作です。

 ただ、一番の問題が音楽の比重が大きすぎること。その音楽もラブ・アンド・ピースのような往年のロック調であり、アニメでは琵琶を弾いている姿が映っているのにどう聞いてもエレキギターの旋律なんですよね。既存権力に対抗して、新しい文化を呼び起すという発想はわかるにしても、なんかロックの音源じゃあなあという感じ。せめて、エレキでなくて琵琶で演奏してくれればよかったのに。しかも、音楽をしっかりきかせる分、ストーリーにとる時間が減ってしまいました。

 さらに、大音量のため歌詞が聞き取りにくい。平家物語では失われてしまった平家の思いをのせた、ある意味忘れ去られた人たちの怨念を音楽にのせているのだけど、その歌詞がわからないと魅力が減じられてしまいます。パンフレットには全曲の歌詞があるそうですけど、そこまでチェックする余裕はありませんでした。

 また、ストーリーとしても2人のバディ感が深まるシーンもそれほどなく、音楽周りでは熱いけれど、勢いのままだされて咀嚼できない感じになりました。意欲作だということは伝わってくるのですけどねえ。犬王は実在の人物ですが生没年も不明で、曲は伝わっていません。芸術と政治、歴史の関係も含めて、制作者側のあれこれの思いがあふれており、手放しで面白いかといわれると微妙だけど、なんか埋もれるのはもったいない作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:05 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。