2022年06月13日

東京2020オリンピック SIDE:A

東京五輪の公式記録映画ですが、河P直美監督らしさが出まくって翼賛映画になっていません。むしろ難民問題や黒人差別、女性の生き方など日本や世界の抱える課題を選手を通して描いています。ただ、それだけにお洒落で意識高い系の上から目線が鼻につきました。でも、だからこそ観たほうがいい作品といえるかもしれません。

 作品情報 2022年日本映画ドキュメンタリー 監督:河P直美  上映時間:120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ渋谷  2022年劇場鑑賞136本 



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 【ストーリー、感想】
 川原の桜に雪が降り積もり、アレンジされた君が代からスタート。森元首相が満面の笑みで聖火を迎えた場面が一転して、コロナと戦う病院や無人の世界各国の都市が映し出され、五輪を切り口に世界の今を切り取ることを宣言しています。

 日本のお家芸の柔道はしっかりと取り上げていますが、それ以外はシリア難民のトライアスロン選手、赤ちゃんを産んで選手村につれてこれるかでもめたカナダの女子バスケット選手、イラン政府の圧力でモンゴルに亡命した柔道選手、黒人差別に抗議してアメリカ国旗に背を向けて物議を呼んだ黒人女子陸上選手など、メダルよりも社会問題でクローズアップされた選手たちを描いています。日本では沖縄出身の空手代表選手を、米軍基地問題や沖縄文化保存を絡めて紹介。また、出産で五輪を断念した女子バスケ選手は、五輪に参加できたカナダ選手と比較して、日本が遅れていることを暗に示しています。

 こうした取り組みはいいのですが、僕はそもそも東京五輪に関心がなく、期間中、中継もみませんでした。そこで東京五輪とは何だったかわかるのかと思いきや、選手の個にだけフォーカスしているため、結局、東京五輪の意義、レガシーはまったくわかりません。ナレーションがないから結果がどうなったのかわからないことも多かった。このへん、熱心に五輪をみた人だったら、女子バスケは日本が銀メダル、とかすぐに思いつくのでしょうけどね。

 さらに、空手を沖縄の文化と結び付けたりするなど、河瀬監督の主観が思い切り入っています。高校時代はバスケの名選手だったためか、女子バスケにクローズアップしてましたし、公式記録映画というより彼女のパーソナルフィルムといったところでしょう。まあ、河瀬監督を起用した段階で、そうなることは予想できたでしょうが。

 東京五輪の熱気が今はまったく残っていないせいか、河瀬監督のパワハラが週刊誌を賑わせているせいか、サービスデーの渋谷の夕方という混んで当然の時間帯に僕を含めて6人しか観客がいませんでした。無観客試合ならぬ無観客映画とネットで皮肉られるのはわかります。けれども、五輪の公式記録ということを抜きにすれば、河瀬監督らしい上質な作品。各地の美しい映像や時々出てくる試合の緊迫したシーン、特に陸上で走る音以外を無音にした演出は、一般的なスポーツ映画、中継ではみられないため、ゾクゾクしました。食わず嫌いで批判するには惜しい作品です。
posted by 映画好きパパ at 06:01 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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