2022年06月24日

恋は光

 理屈っぽい恋愛の会話をさせれば天下逸品の小林啓一監督の新作。哲学恋愛映画とうたうだけあって巧みな会話劇にうならせる一方、無音の使い方も見事。メインの女優陣がこれまでにないほど魅力的に美しく撮れており、さすがのできばえです。
 
 作品情報 2022年日本映画 監督:小林啓一 出演:神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈 上映時間:111分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎  2022年劇場鑑賞148本



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 【ストーリー】
 大学生の西条(神尾楓珠)は恋する女性がキラキラ光って見えるという特殊能力を持っていた。非常に理屈っぽい西条には幼馴染の北代(西野七瀬)以外に友人がいなかったが、ある日、教室に同級生の東雲(平祐奈)が古今東西の恋愛小説の批評を書いたノートをみつけたことから、彼女に興味を抱く。そして、恋とは何かを定義するために2人は交換日記を始める。

 そんな様子にざわつく北代。実は西条のことが好きだったが、「キラキラ光っていない」と西条にいわれて、恋心を封印していたのだ。さらに、北代をライバル視する肉食女子の宿木南(馬場ふみか)は、北代にあてつけるため西条に猛接近していく。

 【感想】
 冒頭、おしゃれなBGMとともに宿木に恋人を取られた女子が彼女の頭に飲み物をぶっかけるシーンからスタートし、一気に物語の世界に引き込まれます。イケメンだけど浮世離れして友人もいない西条に対し、似たような性格で天然だけど一途な東雲、幼馴染でさっぱりした性格だけど恋に奥手の北代、他人のものを奪うことが恋愛の勝者と信じてぐいぐい来る宿木と3人がアプローチ。西条の誰に対しても真剣だけど、空気を読まず正論ばかりの会話とかみあったり、ぴんとがすれたり何ともおかしな恋愛劇が続きます。

 女性3人がライバルだけど互いを尊重して、仲良しになっていくというのもはたから見ていて尊い。女性の友情は男で簡単に崩れるというけれど、この3人の何とも言えない関係が、男の僕から見てもたまらなくいとおしくなります。パジャマパーティーとか女性でしかできない楽しさですよね。

 中でも北代に落ちない男子はいるのでしょうかと思えるほど。とにかく健気で、男女を乗り越えた友情を西条と結ぶ一方で、本心は心の奥にしまっていて、東雲や西条にもアドバイスを送ります。西野七瀬は最近、さまざまなドラマ、映画に出演していますが、彼女が最も美しく、好感度のある役柄でベストアクトともいえましょう。平、馬場も良い感じが続いてますけど、出番が少ないけれど、伊藤蒼が印象的な登場をして、小林監督は本当に若い女優を撮るのがうまいと思います。

 一方で、西条は棒読みとも思えるような演技。「17歳の帝国」など最近の彼の活躍を知らなければ、あれ?と思うような演出。でも、そのことによって女性3人のケミストリーがうまくでてくるわけですし、後半、彼が見える恋の光とは何なのかが判明するときにインパクトを与えてくれます。イケメンだけど眼鏡をかけて変人オーラをきっちりだしてるのが味わい深い。

 岡山ロケも功を奏しています。適度な都会と適度な自然。それに路面電車。こういうところでキャンパスライフを送れたら楽しいだろうなあ。 She & Him(500日のサマーのズーイー・デシャネル!)によるBGMやライティングのうまさは小林作品ならでは。原作漫画と改変があるそうですが、オリジナルファンも納得しているみたいで、このへんの脚本力もいいですよね。普段はものすごいしゃべってるくせに、無音にするシーンも効果的につかっていてやはり邦画界で恋愛映画が一番うまいのは小林監督だと確信しました。あーあ恋したいなあ。

 実は小林監督のスペースを聞いていて、撮影の裏話とか面白かったのだけど、深夜にやっていたので寝落ちしちゃったんですよね。若いころは夜更かしは全然平気だったのに、なんとももったいなかったです。
posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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