2022年06月28日

メタモルフォーゼの縁側

 BL漫画をきっかけに女子高生と老女の年の差を超えた友情を描いたヒューマンストーリー。悪人の出てこない癒される内容で、芦田愛菜の表情の豊かさは驚きです。世知辛い時代だからこそ、ゆったりとした空気に癒されます。

 作品情報 2022年日本映画 監督:狩山俊輔 出演:芦田愛菜、宮本信子、高橋恭平 上映時間:118分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷  2022年劇場鑑賞154本



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 【ストーリー】
 冴えない女子高生の佐山うらら(芦田愛菜)。友人は幼馴染の河村紡(高橋恭平)しかおらず、しかも同級生の橋本英莉(汐谷友希)と熱愛中だ。書店でバイトしていたうららは、市野井雪(宮本信子)という老婦人がBL漫画を買っているのに驚く。

 表紙のきれいさに初めてBL漫画を読んだ雪は、うららにアドバイスを求めてくる。最初はBL好きを隠していたが、ついに我慢しきれなくなり2人は大盛り上がり。やがて二人は友情を育んでいき…

 【感想】
 とにかく脇役に至るまで愛おしくなる人物ばかりが登場。物語が終わった後も幸あれといいたくなりました。まずうららという陰キャになり切った芦田はさすがの名演技。友人はいないし、母親(伊東妙子)は自分のことを思ってくるけどどうも的外れだし、BLに現実逃避していたうらら。それが雪との出会いで、初めて気兼ねのない付き合いができます。

 もう少し彼女に勇気があったら、紡との関係も代わっていたろうし、母親も理解、愛情があるのだから分からせることができたろうに、あいまいな笑顔の下に本音を隠してしまう。同じ陰キャとして彼女の気持ちが痛いほどわかりました。笑顔一つとってもさまざまな表情ができるし、驚いて固まった顔つきや、うれしくてスキップする様子、それに腕を変な風に振りつつの全力ダッシュなど、等身大の女子高生を演じられるのは才能豊かな若手女優のなかでも、芦田愛菜が白眉でしょうね。

 一方で、大ベテランの宮本はゆったりとした演技で、芦田を受け止めます。エピソード自体は驚くべきことはないはずだけど、うららと雪がBLにのめり込んでいく様子は微笑ましい。とにかく同じ趣味を持つというのはすばらしいことだし、雪が意図せずにうららの成長を導くというのも、大人と若者の理想的な関係といえ、心が和みました。岡田恵和の脚本はこういう話にはまりますね。

 ジャニーズ枠の高橋も物語の邪魔をしないし、人気漫画家役の古川琴音、英莉役の汐谷友希ら若手がみなこの世界観に溶け込んでいるのがみていてうれしい。そしてなによりエンディングソングを芦田、宮本がデュエットしており、このまったりとした世界観がどこまでも続く喜びを感じさせられました。

posted by 映画好きパパ at 06:08 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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