2022年08月03日

モガディシュ 脱出までの14日間

 1990年、内戦のソマリアで敵対していた南北朝鮮の大使館員が協力して国外脱出をしたエピソードの映画化。緊迫感あふれる戦争映画に最後まで息を抜けませんでした。

 作品情報 2021年韓国映画 監督:リュ・スンワン 出演:キム・ユンソク、チョ・インソン、ホ・ジュノ 上映時間:121分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿ピカデリー  2022年劇場鑑賞195本



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 【ストーリー】
 1990年、南北朝鮮は国連に相手より早く加盟しようとロビー合戦を繰り広げていた。最大の票田であるアフリカ諸国はその最前線。韓国の駐ソマリア大使ハン(キム・ユンソク)と北朝鮮の大使リム(ホ・ジュノ)は非合法な手段を使ってまで、相手を出し抜こうとしていた。

 ところが、反乱軍による内戦が激化。暴徒が北朝鮮大使館を襲い、リムは子どもを含む大使館員の家族を伴い避難するが、行く当てもなく韓国大使館にたどりつく。双方とも敵意が消えないなか、自分たちの生命を守るためには協力して脱出の道を探るしかなくなるのだが…

 【感想】
 韓国ナンバーワンヒットというだけあって、上質な戦争アクション。南北の対立が今よりはるかに厳しかった時代で、ソマリアでの活動もあり南北の敵意はピークにありました。また、外交官のハンよりも、国家企画院から出向のカン参事官(チョ・インソン)が猛烈な反共意識で、韓国大使館に逃げ込んできた北朝鮮大使館一行を無理やり韓国に亡命させようとするところなどは時代を感じさせます。

 しかし、命の危機に会って南北は次第に協力していきます。最初は韓国大使館ででた食事が独かもしれないと警戒していたけれど、そうでないと分かった瞬間に子どもたちから食事にむしゃぶりつくというシーンは、大人たちのバカないがみ合いで子どもが犠牲になりかける愚かさを感じさせます。また、ソマリアのまだ小学生ともみえる少年兵が何度か印象的に出てきますが、これも北朝鮮の小学生と対比させ、有事の際はこうなるかもしれない怖ろしさを示しています。

 とはいえ韓国映画だから緩急のついた展開。序盤はユーモア交じりに、アフリカでの両国のロビー活動のばかばかしさを描き、内戦の激化で徐々に緊迫感を高め、クライマックスの脱出シーンは派手なアクションの連続で観客の注目を一気に集めます。大使館員などで非武装であり、ただ、知恵を絞って逃げ回るしかないというのも新しいところ。他の映画だったらヒーローが敵を倒すのだろうけど、それができないところも妙にリアルです。こういう知恵を絞った戦争アクションは韓国映画の長所ですね。

 一方で、ソマリアの反乱兵たちが単なる悪役としか描かれていないというポリコレ的な批判もあるよう。しかし、これは視点が南北朝鮮側からで特段問題があるとは思えませんでした。もっとも序盤にでてきたソマリア人たちがもうちょっと話に絡むのかなとは思いましたが。

 キム・ユンソク、ホ・ジュノの両ベテランはさすがの演技。チョ・インソンの得意のテコンドーをいかしたアクションも見事です。でも、子役や撮影地のモロッコでオーディションしたソマリアの民兵といったところまで、すさまじくはまった演技をみせるのが韓国映画の底力ですね。
posted by 映画好きパパ at 06:02 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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