2022年08月08日

1640日の家族

 里子と里親の別れを丁寧に描いたフランス映画。お涙頂戴にしないのはさすが。フランスの制度がよくわからないけれど、親子とは子供の幸せとは何なのかと考えさせられました。

 作品情報 2021年フランス映画 監督:ファビアン・ゴルゲール 出演:メラニー・ティエリー、ガブリエル・パヴィ、フェリックス・モアティ 上映時間:102分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:東宝シネマズシャンテ  2022年劇場鑑賞200本 



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 【ストーリー】
 6歳の少年シモン(ガブリエル・パヴィ)は赤ちゃんの頃、母を失い父のエディ(フェリックス・モアティ)に育児放棄された。児童相談所の仲介でアンナ(メラニー・ティエリー)とドリス(リエ・サレム)夫婦の里子に出される。

 アンナとドリスの実子たちとも兄弟のように育てられ、大家族で楽しく育ったシモン。だが、エディからシモンと再び暮らしたいとの要望がでて、裁判所も実親と暮らすように命じる。アンナは頭では理解していたのだが…

 【感想】
 実の親より育ての親といいますが、血は水よりも濃いといいます。どちらが正しいのか判断はつかないけれど、本作の場合、シングルファザーで仕事に忙しい実親よりも、5年も仲よくすごしている里親ファミリーと暮らす方が子どものためになると思いました。でも、フランスでは実親優先。日本もそうなんでしょうかね。

 シモンはママと呼んでいるアンナと離れるのを嫌がります。物心ついたときから母親と思っているのだから当然です。しかし、実親に戻すために、「ママ」と呼ばれることすら児童相談所から禁止されます。確かに離れ離れになるのだから、「ママ」と呼び続けるのは理屈のうえではシモンの里親離れの邪魔になるのでしょう。でも、人間ってそんなに割り切れるものなのか。

 アンナとエディのちょっとした考えのずれが、やがて深刻なできごとに発展していきます。2人や児童相談所もシモンのためといいますけど、今のシモンを傷つけないことが優先か、それとも将来的に実の家族と暮らすこと優先か、アンナの納得いかない気持ちはみているこちらにも伝わってきます。子どもを育てるのはどんなに大変なのか、特に幼児から6歳まではかわいいけど苦労します。そんな頑張りが報われないのは哀しい。

 ただ、映画がアンナが主人公だからそう見えるのであり、エディが主人公だったらまったく違ってみえるというのも想像が容易につきます。どちらが正しいのでなく、どちらも正しく、間違っている。そんな白黒つけられないリアルを抑制されたタッチで展開されていきます。

 個人的には6歳で完全に親と離れた部屋で寝ているというのは欧米らしいと感じました。日本でも「そして父になる」という名作もありましたが、本当に親子の関係は国情もあって難しい。
posted by 映画好きパパ at 06:02 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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