作品情報 2021年タイ、韓国映画 監督:バンジョン・ピサンタナクーン 出演:サワニー・ウトーンマ、ナリルヤ・グルモンコルペチ、シラニ・ヤンキッティカン 上映時間:131分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ渋谷 2022年劇場鑑賞205本
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【ストーリー】
タイの山間部では精霊信仰がいまだに根強い。ドキュメンタリー映画の取材班はバヤンという女神を信じる祈祷師ニム(サワニー・ウトーンマ)の取材に赴く。だが、ニムの姪で若く美しいOLミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)の様子がおかしくなる。ニムはバヤンが祈祷師の代替わりを望んでいるのではと考えるのだが…
【感想】
フェイクドキュメンタリー系のいわゆるモキュメンタリーというやつで、怪異に巻き込まれる撮影スタッフがなぜカメラをはなして逃げないのかという突っ込みを含めてお約束通りのところは多かった。前半のモキュメンタリー部分のテンポが非常に遅いし、全体の上映時間も長いので、単なるホラーとしてみるとまあよくある作品。
しかし、「哭声」のナ・ホンジン監督がプロデュースということもあり、土着のどろどろとした雰囲気、先祖の因果が回ってくる血の因縁、そして、神とは人間にとってどのような存在なのかというのをきっちり抑えているので、凡百のホラーとは一線を画しています。特に、「哭声」ではキリスト教がモチーフになったけど、本作は土着宗教がモチーフになっており、宗教として洗練されていようが土着であろうが、人は何を信じるのか、そして、それは人間と同じ善悪を持っているのかということを非常に考えさせられます。
とにかく、ひたすら静かにじわじわと悪意が広がっていく中、クライマックスでは「来る」のようなハイテンションになるという作風はエンタメとしてはまっていて、好き嫌いはわかれるみたい。しかし、そのあとのエピローグが何とも嫌らしい。本当に神は存在するのか、悪霊は存在しているのに…という身もふたもないことすら思わされてしまいます。登場人物がなんで避難しないのかとか突っ込みはあるのだけど、悪霊にすでに騙されたといわれれば納得しそう。この意地悪さはナ・ホンジンらしいですね。
ナリルヤ・グルモンコルペチは、霊なんか信じない今風の女性から、徐々に壊れていくミンを文字通り身体をはって熱演。こんなに清楚な女優があんなことまでしてしまうというのはびっくり。それとニム役のサワニー・ウトーンマのどっしりとした安定感がいい組み合わせになっています。終わった後いろいろ考察したくなるタイプの作品なので、ホラーマニアにはお勧め。ただし、タイは犬肉料理があるということで、一部の動物好きにはちょっと耐え難いシーンがありますのでご注意を。
【2022年に見た映画の最新記事】
タイという絶妙のロケーションとさすが韓国ホラーの名監督プロデュースだけあって容赦ない残酷描写には度肝を抜かれました。
客寄せパンダに新人アイドルを起用するJホラーは絶対太刀打ちできないな、と痛感させられる快作(怪作?)だと思いました。
犬食の呪いならなんでイヌ食べるんや!…って思いましたがw
前半のスローテンポが後半にきて一気に爆発するのがいいですね。
スピンオフ企画も楽しみです。
犬食べるのは韓国のプロデューサーだからですかね