作品情報 2020年アメリカ映画 監督:マイケル・サルノスキ 出演:ニコラス・ケイジ、アレックス・ウルフ、アダム・アーキン 上映時間:92分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿シネマカリテ 2022年劇場鑑賞210本
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【ストーリー】
人里離れた森の奥に1頭の豚とともに暮らすロブ(ニコラス・ケイジ)。豚はトリュフを見つける才能があり、トリュフの買い付けに街からやってくるバイヤーのアミール(アレックス・ウルフ)だけが、ロブの会う人間だった。
ところが、ある日謎の人物たちがロブの小屋を襲い、豚を強奪する。怒りに燃えたロブは、アミールを足代りに十数年ぶりに街へ向かう。かつて街では伝説の人物だったロブは、昔のネットワークを使って豚の行方を探すのだが…
【感想】
ニコラス・ケイジが豚を盗まれて、怒りに燃えて大都会へ向かうなんてあらすじを聞いたら、犬を盗まれたジョン・ウィックがギャングを全滅させるのの豚バージョンかと思うじゃないですか。ケイジもアクション作には何本も出ているし。ところが、大切な家族の喪失がテーマのしんみりした話になるのだから不思議です。それと、出てくる料理の美味しそうなこと。
ほとんど手掛かりがない状況から豚をみつけるのは、ご都合主義に頼りすぎなところもあります。けれども、ロブがなぜ人里離れた森の奥に住んでいるのか。そんな孤独なロブのたった一人(一匹)の家族だった豚が盗まれるとはどれほど心を傷つけるのか、次第にわかっていくように展開していきます。
また、アミールも同様で、最初は愛想のないロブに悪口ばかり言っていたのに、捜索を続ける間に疑似親子のようにも見えてきます。このあたりの喪失と再生の物語を、豚というギミックを使うアイデアには驚きです。もう一つ、家族だけでなく失われたものとしては夢もあげられます。劇中、血だらけのロブがある登場人物に「お前の夢はどうなったんだ」と詰問するシーンがありますが、10数年ぶりに会うおっさんから詰め寄られたら結構、応えますよ。自分自身も画面越しに問い詰められているようでした。
借金返済のためいろんな小品、珍品に出演しているニコラス・ケイジですが、本作のロブは彼でなければ出来ない演技でしたし、存在そのものが大切なものを失った初老の男を体現しています。日本では一般公開はなくシネマカリテのフェスでの上映でしたが、配信などで見掛けたら、映画マニアにはお勧めしたい作品でした。
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