2022年08月20日

野球部に花束を

 大きな事件はないけれど、高校野球部にあるあるの出来事の積み重ねを面白おかしく描きました。難病恋愛映画よりもはるかに地味だけど、青春の素晴らしさが伝わってきます。本作では2年に進級したところまでなので、ぜひとも続編を希望。

 作品情報 2022年日本映画 監督:飯塚健 出演:醍醐虎汰朗、黒羽麻璃央、高嶋政宏 上映時間:99分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿  2022年劇場鑑賞211本



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 【ストーリー】
 中学時代に野球部で練習漬けだった黒田(醍醐虎汰朗)は高校に入ったら遊びたい放題遊ぶつもりだった。ところが、クラスメイトの亀井(駒木根隆介)たちに練習見学に連れてかれたところ、監督の原田(高嶋政宏)に半ば恫喝され入部してしまう。

 当初は先輩たちは優しく、練習も楽だったが本入部が決まったとたん様子は一変。新入生は全員丸刈りにされたうえ、鬼のような形相の原田や先輩たちに震えあがる。かくして、日本中の高校野球部あるあるの、部活生活がはじまった

 【感想】

 僕は高校時代は帰宅部で中学はサッカー部だったので、体育会系の雰囲気は少し分かります。ただ、高校野球は独特ですから、とにかく面白く見てました。鬼のような先輩や部活といっても、黒田たちは都立の弱小校。高校野球をリアルにえがいた映画「ひゃくはち」に出てくる名門私立のような、ぶっ倒れてまで練習をさせられるのとはレベルが違います。しかし、令和になってもまだこういう理不尽な部活が映像化されるのは面白い。実際はコロナでだいぶ雰囲気が変わったときくけどどうなんでしょうか。
 
 若手俳優たちが汗にまみれて練習するシーンはとにかく美しいし、着替えなどのサービスシーンもたっぷりあります。一番のデブキャラの亀井が実は1年生で一番の俊足だったり、黒田がいきなりキャッチャーにコンバートさせられたりと、見た目とギャップの野球シーンもいいですが、ただでさえ出会いの少ない中、同級生に片想いをしたけど、練習が忙しすぎて全然発展しないとか、テストの成績が悪くて母親に怒られ退部を迷うなど、高校部活あるあるは、僕のような中年からみても貴い。全体的にユーモラスなタッチなのでお気軽に見られますし。

 「ひゃくはち」では野球の技術シーンもでてきますが、本作では原田も含めて精神論が多い。さすがに今では体罰はできないでしょうけど、練習でとことん疲れた頭では、原田の強引な理屈が名言に聴こえるというのは、実は社会人になっても似たようなことがあるので良い勉強になったのでは(笑)。疲れ果てると怖い先輩が小沢仁志に変身するとか、数少ないベテラン俳優を効果的に使った演出ににんまりです。

 高校時代は二度とないわけですから、そこでひたすら野球に打ち込むというのは本当に羨ましい。99%は甲子園に出られないけれど、きっと何か大切なものを得られるはず。元ロッテの名捕手、里崎智也の突っ込みコーナーも的確で、飯塚監督もノリノリで作ったのだろうなと思ってしまいます。題材、出演者は地味ですけれど、甲子園もやっている最中ですし多くの人に見てもらいたい作品。エピローグ的に黒田たちが2年に進級したときに女子の部活希望者が入ってきて、高野連では公式戦の女子出場を禁止しているそうですが、こういった現実にある問題にも話を広げていくのがいい。

posted by 映画好きパパ at 06:00 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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