2022年09月02日

セイント・フランシス

 アメリカンの30代独身女性を等身大に描いたハートフルな作品。女性の本音ってこうなんだろうなと思いつつ、ポリコレにばっちり配慮した配役は笑えました。

 作品情報 2019年アメリカ映画 監督:アレックス・トンプソン 出演:ケリー・オサリヴァン、ラモナ・エディス=ウィリアムズ、チャリン・アルバレス 上映時間:101分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町  2022年劇場鑑賞226本



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【ストーリー】
 34歳のブリジット(ケリー・オサリヴァン)は大学中退後、定職にもつかず今はレストランでウエイトレスのバイトをしていた。パーティーで知り合った年下の青年ジェイス(マックス・リプヒツ)となんとなく関係はもっているものの、気弱な彼に物足りなさを感じていた。

 友人の紹介で夏休みの間、レズビアンのカップル、マヤ(チャリン・アルバレス)とアニー(リリー・モジェク)の6歳の娘フランシス(ラモナ・エディス=ウィリアムズ)の子守バイトをすることになったブリジット。おませなフランシスに手を焼くのだが…

 【感想】
 脚本も書いたケリー・オサリヴァンが売れない俳優として子守のバイトや中絶をした経験をもとに書いており、30過ぎても将来が見えない不安や心身の衰えなどをリアルに描いています。監督のアレックス・トンプソンはケリーのパートナーだそうで、すごい私小説的な作品です。

 中退した大学の友人が、裕福な主婦とかになっているのをSNSでチェックしてもやもやした気持ちを抱いたり、年齢的にそろそろ出産が大変になるなか、子どももいないのにナニーになる戸惑いなど、男の僕がみても共感できるようなブリジットの毎日。さらに、マヤは出産直後で産後うつに近い状況なのに、アニーが仕事が忙しくて相手にできないなんて状況も日本の夫婦にはよくあるかも。もっとも、マヤはメキシコ人、アニーは黒人で、ポリコレ的な状況は日本では想像つかないかも。

 そして、なんといってもおませなフランシスが物語を引っ張ります。どこでそんな言葉を覚えたのか不思議なくらい耳年増の一方、育児や仕事に忙しい母親たちに(マミーとママで区別していた)愛されないのではという子どもっぽい感情を描き、ついブリジットにあたってしまう。とにかく彼女の動きから目が離せず、ブリジットならずとも彼女のことが気になってなりません。これがデビュー作というラモナはフランシスになり切っており、子役の演技の見事さに感心しました。

 ただ、僕にとって理解できなかったのはブリジットの中絶話が入ることで、他人の幼児は可愛いのに、自分のお腹の中の子どもへの母性はなかったということ。ここは男の僕には正直、理解できなかった。また、やさしいジェイスではなく、年上のワルのアイザック(ジム・トゥルー=フロスト)にフラフラといってしまうのは、やはり女性というのは優しいけど頼りない人より、ワルでも格好いい男に弱いんだろうなと、失笑してしまいました。

 意外だったのが、ナニーに対する扱い。ブリジットの同級生と偶然再会するシーンがあるのだけど、他人のナニーなのに自分のところの女中扱い。いや、友達なのにそんなに階級差があるのかとびっくりしました。一見、平等に見えるアメリカ社会でも、職業差別のようなものがあるのですね。
posted by 映画好きパパ at 07:16 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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