2022年09月07日

オカルトの森へようこそ THE MOVIE

 僕はシリアスな映画も好きだけど、とにかくテンション上がるエンタメに振り切った映画も大好き。本作はモキュメンタリーホラーの帝王ともいえる白石晃士監督による最高傑作。オープニングからエンディングまでテンションあげあげで興奮しまくりでした。

 作品情報 2022年日本映画 監督:白石晃士 出演:堀田真由、 白石晃士、宇野祥平 上映時間:123分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:新宿ピカデリー  2022年劇場鑑賞231本

 【ストーリー】
 売れないホラー映画監督の黒石光司(白石晃士)のもとに、ファンだという女性、三好麻里亜(筧美和子)から自宅で起きた怪奇現象を映した映像が送られてきた。取材のため助監督の市川美保(堀田真由)とともに、山奥の麻利亜の家を訪れた。

 ところが、そこで起きた怪現象は想像を絶する内容で、人類は存亡の危機に。怪現象に襲われた3人を助けたスーパーボランティアの江野祥平(宇野祥平)や、天才的な霊能力者ナナシ(飯島寛騎)らと地球を救おうとしながら、新作ドキュメンタリー映画として一連の事態を撮影する黒石だったが…

 【感想】
 WOWOWのドラマの総集編だそうで、冒頭の短編「訪問者」だけが新撮。ドラマ版はみていないのですが、劇場版だけで十分に楽しめました。なお、宇野扮する江野祥平は白石監督の往年の傑作「オカルト」の登場人物と同姓同名、同じ役者で他の作品にも登場しているマルチバースなキャラクター。ホストのような天才霊能力者も「カルト」に似た容姿の霊能力者NEOがでてきます。市川美保というのも「戦慄怪奇ファイル」シリーズの登場人物の市川実穂と同名と、白石ファンならにんまりするでしょう。僕は「怪奇ファイル」はみていないので、今後見てみようと思わされました。

 さて、白石監督作品によく出てくるのが霊体ミミズと呼ばれる不気味な怪物。本作でもしっかり登場。チープな造形だけに怖さはあまりありません。しかし、人類を襲う危険な存在なので、霊体ミミズとの対決は毎回テンションがあがる。しかも本作にはさらに巨大な謎の物体まで登場するのだからおいしい限り。もともとクトゥルフ神話から来ている霊体ミミズだけに、ホラーマニアとしては歓喜のかぎりです。

 冒頭の短編から、怖い時は市川を盾にとるどうしようもない黒石と、毒舌、怪奇現象にも平然と対応しつつ常識的で最後では黒石を尊敬している市川のコンビがたまらなく魅力的。黒石は市川にも麻利亜にも、昔撮った「オカルティズム」のような傑作をもう一度撮影してほしいと頼まれているため、どんな怪奇現象に襲われようともカメラを手放さないPOVの真髄といった感じです。

 また、江野はサングラスに猟銃をぶっぱなす、名脇役の宇野祥平が演じた数々の役柄のなかでもトップクラスに格好良いハードボイルドな役柄。子どもには優しいし、怪現象にも平然と立ち向かうし、男の中の男。同時に、堀田も出演作を数々みているのですが、正直、ここまで彼女を魅力的に描いた作品はほかにないのでは。正直、白石監督が筧を含めて女優をこれほど美しく撮れる手腕があるとは思っていなかったので感激です。さらに、とことん天才的な霊能力者のナナシも、こりゃ男でもほれちゃうがなというようなイケメンぶり。市川の淡い想いも含めて、美味しい役柄でした。 

 ハリウッド映画に比べたら恐らく100分の1程度の低予算でしょうから、SFXはものすごくチープです。しかし、アイデアと熱意があれば、センス・オブ・ワンダーの作品はいくらでもつくれるわけで、ハリウッドのアクション大作よりもよほど興奮しました。くしくもカルト宗教の対決というと、現代性を帯びるわけですし。アクションといえば敵役に「グリーンバレット」で見たばかりの伊能昌幸、「国岡」で彼と死闘を繰り広げた茶谷優太、さらに「るろうに剣心」などの大作でも活躍した屋敷紘子など第一線のアクション俳優が登場。それまでのゆるーいSFXとうってかわった本格的なアクションにしびれました。
posted by 映画好きパパ at 09:16 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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