2022年09月09日

アキラとあきら

 池井戸潤原作の銀行ドラマ。恋愛要素がゼロで仕事の話に全振りというのは評価できますが、他の作品のような分かりやすい悪役がいないのでインパクトに弱いかな。主演2人は熱演です。

 作品情報 2022年日本映画 監督:三木孝浩 出演:竹内涼真、 横浜流星、上白石萌歌 上映時間:128分 評価★★★(五段階) 観賞場所:109シネマズ川崎  2022年劇場鑑賞232本 



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 【ストーリー】
 産業中央銀行に同期入行してトップの座を争う山崎瑛(竹内涼真)と階堂彬( 横浜流星)の2人のアキラ。瑛は幼いころ実家の町工場が銀行の貸しはがしで倒産したこともあり、人情派の銀行員を目指す。一方の彬は大企業、東海運輸の御曹司。冷徹で頭の回転も速い。2人はライバルとして互いを認め合っていた。

 瑛は貸付先の町工場に同情して、銀行に不利益なことをしたため上司の不動(江口洋介)ににらまれて地方に左遷。一方、東海運輸では社長で彬の父一磨(石丸幹二)が病気に倒れ、彬の弟、龍馬(高橋海人)が社長の座に就いたが、金融のプロである彬の忠告を煙たがる。一方で、叔父でグループ会社の社長の晋(ユースケ・サンタマリア)と崇(児嶋一哉)は兄弟の不仲につけ込み…

 【感想】
銀行の仕事が内容のすべてで、専門用語もちりばめられていますが、熱い主人公とクールなライバルが互いに一目置きながら切磋琢磨する。そして、腐ったおっさんたちの陰謀に共に手を組み、紅一点の部下水島カンナ(上白石萌歌)とともに立ち向かうという分かりやすい図式。池井戸原作らしい分かりやすさは健在です。

 瑛が左遷される原因となったできごとは、コンプライアンス的に問題だと思いますが、熱血漢を打ちだすには良いエピソード。さらに、幼いころ銀行にひどい仕打ちを受けたというのは、半沢直樹と似ていますが本作の場合、地元銀行の若い営業マン(満島真之介)が瑛の父(杉本哲太)を支えたエピソードを盛り込むことで、瑛がなぜ銀行マンを目指すかが余計にわかりやすくなっています。

 冒頭の子ども時代のエピソードの伏線回収や、実は敵だと思ったやつが味方だったなど、これまた池井戸原作お得意の王道的パターン。これに竹内、横浜がぴったりとはまった演技をしていますし、ユースケ、児嶋の分かりやすい演技や、江口の冷徹な銀行マンぶりなど、驚きはないけれど物語にはまった形で話は進んでいきます。正直アラサーのイケメンバンカーだったら浮いた話の一つや二つあるでしょうに、そうしたことに時間を割かないのは正解。まあ、水島が活躍するかと思ったら、結局アシスタントで女性が活躍していないのは今風の映画と言えないかもしれませんけど。このほかちょい役で津田寛治、野間口徹、山村紅葉らが登場するもったいない使い方。つぶれかけた町工場主の宇野祥平は、前日に見た「オカルトの森へようこそ」と真逆の役柄なのにはまりすぎていて笑っちゃいました。

 ただ、気になったのが東海運輸が50億円程度の焦げ付きでおたおたすること。ソフトバンクGの3兆円の赤字はともかく、大手海運業で従業員数から同規模の会社と想定される川崎汽船は1100億円の赤字を出しても平然としていました。この手の経済ドラマに出てくる金額っていつも不自然に感じてしまいます。

posted by 映画好きパパ at 11:54 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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