2022年09月16日

おろかもの

 インディーズ映画の登竜門として知られる田辺・弁慶映画祭で2019年、賞を総なめした作品。低予算ながらセンス・オブ・ワンダーにあふれており、埋もれさせるには惜しい作品でした。

 作品情報 2018年日本映画 監督:芳賀俊、鈴木祥 出演:笠松七海、村田唯、イワゴウサトシ 上映時間:96分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:アマゾンプライム 



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 【ストーリー】
 両親を亡くし、社会人の兄健治(イワゴウサトシ)と暮らしている女子高生の洋子(笠松七海)。兄の結婚が決まり、婚約者の果歩(猫目はち)も同居することになり、洋子の気持ちはざわつく。

 ところが、健治が若い女性美沙(村田唯)と浮気しているところを発見。思い切って美沙に会いに行くことにした洋子だったが…

 【感想】
 父親代わりの兄が結婚前にした浮気。多感な女子高生にとって兄のそんな態度は汚らしくみえるでしょうが、でも兄のお陰で自分が普通の暮らしていけるのも事実であり、もやもやする日々。さらに、何かとお姉さんぶる果歩よりも、美沙とのほうが話していてラクだったりして、洋子の気持ちは揺れ動きます。このあたりの心理描写がうまく、監督、脚本ともに男性というのに驚きました。

 普通のテレビドラマだったらこうなるだろうという予測をことごとく外してくる巧みなストーリーテリング。最後までどう転ぶかわからないので、ドキドキしながら観ていました。これをみると男って本当に馬鹿だし、女ってずるがしこいなと思えてなりません。

 実際、結婚式直前に浮気をしている気持ちというのは、同じ男性の僕からしてもリスクばかり大きくてさっぱり共感できません。それだけ夜の営みに差があるのかもしれないけれど、とにかく健治にひどいめにあってほしいと同性の僕ですら思うのだから、女から見れば女性の敵ということになるのでしょう。果歩も美沙もそんなクズぶりを知りつつ、健治の相手になるのだから、やはり真面目でつまらない男よりもクズなもて男のほうが世の女性はいいのか、そんなふうにすら思えてしまいました。

 そして本人は一生懸命だけど、結果としてどんどんずれた行動になっていく洋子の空回りっぶりが見ていて本当に応援したくなります。やはり、男女の関係というのはおこちゃまには理解できないし、僕のようなおっさんにも理解できない複雑なもの。そんな結婚、男女にまつわるブラックコメディーを淡々と描いていく2人の監督の手法も御見事でした。

 ノースターで、正直、知った俳優がいなかったのですが、それだけにリアルというか身近に感じました。逆に有名俳優が演じていたらそっちにひきづられてここまでストーリーに夢中になれなかったかな。大げさな舞台装置がなくても、いくらでもドラマティックな話が作れる。そんな見事な脚本、演出に拍手を贈りたいです。
posted by 映画好きパパ at 06:17 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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