作品情報 2021年イギリス映画ドキュメンタリー 監督:ロジャー・ミッシェル 上映時間:89分 評価★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞237本
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【ストーリー、感想】
1952年に25歳の若さで即位し、70年間も君臨したエリザベス女王。英連邦はいまだに世界の人口の3分の1にもなる巨大国家で、皇室のスキャンダルなど苦労も絶えなかったでしょう。本作はこれが遺作となったロジャー・ミッシェル監督(ノッティングヒルの恋人)がポップにキュートに描いています。
それぞれ数秒から数分の短いカットをひたすらつなぎ、ビートルズやクイーンをはじめとするイギリスで女王にまつわる曲の数々がBGMとして流れます。時系列はめちゃくちゃですが、フィリップス殿下との情愛、ダイアナ妃の事故死から趣味の競馬までミニテーマに沿った形で編集されています。いつも笑顔でユーモアが大好き。本作でもちらりと取り上げられていますが、ロンドン五輪のときは007役のダニエル・クレイグと共演するなど話題にもことかきません。
ただ、イギリス人なら当然のエピソードなんでしょうけど、ドラマや映画でエリザベス女王を演じたシーンなども一緒に流れていて、どれがなんだかよくわかりませんでした。まあ、若いころは相当美人で、この細腕に英国の将来がかかっていたと思うと、凄い人なんだなと思いますけど。
一方で、ダイアナ妃への事故対応は少しふれますが、植民地の独立問題、第二次大戦への向き合い方、イギリス内部の格差といった政治的テーマは皆無。あくまでもエリザベス女王の微笑ましい人間的な側面を取り上げるだけで、統治者としての非情な部分は皆無であり、プロモーションビデオに過ぎない気もしました。まあ、ミシェル監督がそんなポリティカルな作品はとらないでしょうけど、ケン・ローチ監督が撮ったらどんな作品になったのか観たい気もします。ともあれ、エリザベス女王の追悼にはふさわしい作品とはいえました。
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