作品情報 2022年日本映画 監督:内田英治 出演:阿部寛、清野菜名、倍賞美津子 上映時間:119分 評価★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ座間 2022年劇場鑑賞241本
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【ストーリー】
刑事一筋30年、捜査の鬼といわれた成瀬警部補(阿部寛)だが、容疑者に暴力を振るったり、部下に暴言を吐いたり、会議中は本部長(光石研)をバカにしたりとコンプライアンス重視の世の中で問題ばかり。とうとう捜査一課をクビになり、県警の音楽隊にとばされた。
子供のころに和太鼓をたたいた経験しかない成瀬。音楽隊は県警本部から遠く離れた田舎町にあり、隊員たちは本業と兼務しながらで技量はなかなかあがらない。やる気のなかった成瀬だが、音楽隊が街の人々の心の支えになっていることや、交通課の巡査でトランペット担当の来島春子(清野菜名)ら懸命に練習している仲間の姿をみて、少しずつ変わっていく。
【感想】
時代に会わなくなった中年男が新しい場所と仲間でかつての自分を反省し、新しく生まれ変わるという成長物語に、成瀬が飛ばされる原因となった連続アポ電強盗事件の捜査を絡ませて、分かりやすい作りとなっています。嫌味な本部長に少しだけどぎゃふんといわせるのも王道的。
ただ、音楽映画だったら「スウィングガールズ」のようにもっと音楽の楽しさを全面的に打ちだせばいいのにと思いました。「スウィングガールズ」の名場面で日常の何気ないところでリズムに気づくというのがありますけど、本作も似たような場面があってさあ盛り上がるかと思ったら流されてしまいます。強盗事件の顛末をみせる必要があったからかもしれませんが、時間配分がもったいない。
さらに、時間配分でいえば成瀬の母幸子(倍賞美津子)が認知症で大変なうえ、離婚した妻のところにいっている娘法子(見上愛)との間も仕事優先でかまってあげなかった反動で険悪になっているという家族の物語にもそれなりの時間をさいています。成瀬の鬼刑事ぶりで家族を顧みない様子を描きたかったのでしょうけど、これも何か浮いた感じ。
そもそも、音楽隊はこれまで50年活動してきたのに、成瀬が入ってくるまでへっぽこだったというのもよく分からない。音楽隊では清野のほか高杉真宙、モトーラ世理奈、渋川清彦、隊長役の酒向芳と芸達者をそろえているだけに、通り一遍のモンタージュ的練習風景だけでなく、もう少し音楽愛がみられる演出だったらよかったのに。演出、脚本、俳優とも悪い作品ではないのですけど、なんか物足りず、突っ込みたくなりました。
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