作品情報 2022年日本映画 監督:片岡翔 出演:南沙良、玉木宏、大西流星 上映時間:100分 評価★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2022年劇場鑑賞245本
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【ストーリー】
心理療法士の窪司朗(玉木宏)は、5年前に一家で遊園地に行った帰りに事故に遭い、司朗は足が不自由になり、妻の繭子(桜木梨奈)は植物状態。次女の月(渡辺さくら)は顔に大やけどを負い白い仮面をつけるようになった。唯一無傷だった長女の花(南沙良)も心を閉ざしてしまい、月ともども学校にも行かずに引きこもりの生活を続ける。
5年後、病院にいった司朗が嬉しそうに帰ってくる。なんと繭子(桜井ゆき)が意識を取り戻したというのだ。整形で顔が変わった繭子だが、花は違和感を覚え本当に母親なのか疑う。飼っていた兎が逃げ出したところを捕まえてくれた少年、四井純(大西流星)と仲良くなった花は不安を打ち明ける。スマホも持たない花の代わりに、過去の事故の記事を調べた純は驚くべきニュースを見つける。だが、純にもある秘密があり…
【感想】
事故があったのを乗り越えて仲よく暮らす家族。父親はいつもほほ笑み、妹は姉を慕ってくれる。そこへ母親が戻ってきたことで家族は大喜び…のはずでした。しかし、花が抱いた違和感が、家族の間に亀裂を生じさせていきます。淡々と抑制された演出と明度を落とした撮影が見ているこちらに徐々に不安を生じさせます。
子どものころ、僕も空想するのが大好きで自分の本当の両親が別にいたらと想像することもありました。また、ウルトラセブンや漫画版のデビルマンなどで、家族、友人の姿をしているものの実は異星人なり魔物なりにすり替わっていたというような話も多く見ました。だから、花のざわざわした恐怖がわかります。さらに、純への淡い初恋もよくできていました。
なによりいつも笑顔で温厚な父親が裏に何かありそうというのが、思春期の女の子にとっては恐怖でしょう。まして、本来だったら助け船となるはずの母親も信じられないのですから。そういった心理的に花も観客もじわじわといたぶってくる演出は好みでした。
それだけに謎解きはちょっと不満。別にリアルでなくてもいいのだけど、もしこの謎解き通りだったら、もっと別の展開があったのではと思ってしまいます。まあ、タイトルの意味を知らせる驚愕のラストという効果を狙ったのかも知れませんし、それは伏線的にはうまく回収されていたけどあざとさは否めませんでした。
ともあれ、主演の南が年頃の少女を等身大で好演。さらに、基本は善人、ときおり悪役を演じる玉木の何とも言えない怖さを秘めたほほ笑みが、物語に深みを与えてくれました。大西もジャニーズだけあり演技の基礎はできていて、脇も含めて配役はあっていました。
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