作品情報 2022年日本映画 監督:山岸聖太 出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華 上映時間:119分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日本橋 2022年劇場鑑285本
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【ストーリー】
衣装デザイナーの真知子(前田敦子)は寂しいときに慰めてくれた中学時代の同級生の怜人(菊池風磨)がそのまま家に居ついてしまい困惑している。性風俗嬢の七瀬(黒川芽以)は、元子役でプライドばかりが高い客の慎太郎(三浦貴大)のわがままな要求に付き合わされている。
一方、女優の鈴(趣里)はマイペースなゲイの富(千葉雄大)と同棲中。フリーターの美和(伊藤万理華)も同棲中の泰造(オカモトレイジ)とそれぞれ満ち足りた生活を送っていたと思っていたのだが…
【感想】
怜人、慎太郎は序盤から明らかなクズでしたが、関係がうまくいっていると思われた富、泰造も次第におかしなところが明らかになっています。前半はコロナの世相をうまく取り込んでおり、いかにもこんなクズに振り回される女性は大変だろうなと観ていました。
中盤は8人の登場人物の数年前の様子が描かれて、男性陣は相変わらず当時からクズだったことが明かされます。そして、舞台は再び現代に戻ってきます。同じ男の僕から見ても、男のクズぶりにはあきれてしまい、天罰が下ればいいのにとみていました。女性陣が切れた啖呵は胸のすく思い。もっとも、こんなクズたちでも美女と付き合えると思うと、やはり男は性格でなくて顔なんだなという気持ちもあります。
ところが、クライマックスで一転、女性陣は自分たちにも悪いところがあるとクズたちを許して抱擁します。いや、そんなことだからクズはクズのママなんだって。女性陣がそれぞれ自分の悪いところというエピソードは男性陣クズっぷりとは比較にならないぐらい大したことがないもの。むしろ、自分を卑下してクズを許すことが最大の問題行為でしょう。そういうダメンズ女性の愚かさを嗤う演出家と思いきや、最後はお祭り的に終わっちゃうし。クズ男どもはみんな去勢しちゃえばいいのにとすら思ってみていたのですが。
原作舞台は未見ですが、原作者の根本宗子が映画の脚本も手掛けているので確信的な展開なんでしょう。根本自身は20代で原作舞台を上演した早熟ぶりですが、若い女性がいまだにこういうバブル的な恋愛発想なんだというのはちょっと驚きました。終盤、前田敦子が「普通の人は普通に働いて一生懸命生きてるの!」と切れるシーンがあったけど、これも古い道徳のようで逆に笑ってしまいました。
なお、賛否両論ある終盤の舞台的なメタ演出ですが、僕はありだと思います。途中のカット割を十分に使った演出も山岸監督の「傷だらけの悪魔」を想起させ、結構、好みでした。それだけにラストがなあ。
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