2022年11月17日

夜を越える旅

 最初は若手監督のしょぼい作品と思いきや、後半の内容ががらりと変わって驚きました。後半の出来は今年の邦画でも出色のでき。でも、公式サイトなどでもあまり触れておらず、ネタバレしたら興味は半減しそうなので、宣伝が難しそう。

 作品情報 2021年日本映画 監督:萱野孝幸 出演:高橋佳成、中村祐美子、青山貴史 上映時間:81分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ  2022年劇場鑑303本



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 【ストーリー】
 大学院を卒業したのに漫画家になる夢をあきらめきれず、フリーターと彼女へのヒモで暮らしている春利(高橋佳成)。久しぶりに学生時代のゼミ仲間と山の中のロッジへ旅行へ行くが、頼みの綱だった漫画賞に落選したとの連絡が届き、やけ酒をあおる。そこへ、学生時代に思いを寄せていた小夜(中村祐美子)が現れるが事態は思いも寄らない阿鼻叫喚の地獄へと転がり始めてゆく…

 【感想】
 前半はとにかく春利のだるい日常や、学生時代の仲間と再会してドライブする様子がダラダラと流れます。いつまでも夢にしがみつきモラトリアムの春利が、社会人としてバリバリ活躍する仲間たちに置いて行かれる姿が続き、映像も高橋の活舌もだるかったので、これは失敗したかもと思いました。

 しかし、小夜の登場で話がひきしまります。なんといっても中村祐美子の大きな目とくりっとした表情が魅力的。こりゃ春利でなくても惚れますわ。そして、夜道を散歩しながら学生時代の思い出を語る二人が抒情的に描かれるけど、ここであれ?と違和感を覚えます。

 そして、怒涛の後半のスタート。前半のだるさが「タメ」になったように一気呵成に物語が進んでいきます。先行作品をいくつも想起させつつ、低予算にもかかわらずうまい撮影方法やアイデアにうならされます。クライマックスについては個人的な好みと合わない部分もありましたけど、ラストで青春映画というか、モラトリアムで先行き不安な状況を越える、小「夜」を越えるというタイトルの回収もできて感心しました。

 MVPは中村ですね。クライマックスよりも前半の春利と再会したあたりの表情が本当に素敵。テレビドラマの脇役とか見ているはずですが、認識したのは本作が初めて。無名の女優でも良い表情をした人がまだまだいるのだなと感心しました。萱野監督も平成生まれのフレッシュな才能で福岡を拠点に活躍しているとのこと。映画の舞台も佐賀県でしたが、ローカル発の作品を楽しめるのも貴重な体験でした。

posted by 映画好きパパ at 05:59 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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