作品情報 2021年韓国映画 監督:キム・ジフン 出演:チャ・スンウォン、キム・ソンギュン、イ・グァンス 上映時間:114分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑307本
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【ストーリー】
苦節11年の節約生活のすえ、ようやくソウルにマンションを購入できた平凡なサラリーマンのドンウォン(キム・ソンギュン)。妻のヨンイ(クォン・ソヒョン)や幼い息子のスチャン(キム・ゴヌ)も大喜び。
ところが引っ越しの時に住民のマンス(チャ・スンオン)とひと悶着。さらに、スチャンが部屋にビー玉を置くと自然に転がりだし、ドンウォンは不安にかられる。そんななか、ドンウォンの引っ越し祝いが開かれ、部下のキム(イ・グァンス)やインターン女性のウンジュ(キム・ヘジュン)がやってくる。そこへ突然、シンクホールが出現。マンションは住民ごと地下500メートルの穴に落ちてしまう。地下では電波も届かず、救出手段もみつからない。生き残ったドンウォンたちは何とか助かろうとするのだが…
【感想】
ソウルの地価高騰は日本の比ではありません。また、文在寅前大統領時代に政府幹部がマンションで土地ころがしをする一方、庶民は「パラサイト」で描かれたようなひどい住宅事情で苦労していました。だから、治安の悪い地域の低層マンションとはいえ、マイホームを手に入れたドンウォンに韓国の観客は深く共感したでしょう。
また、シンクホールも韓国の社会問題となっており、今年日本公開された映画「なまず」でもシンクホールが大きく取り上げられていました。上下水道管の老朽化が主な原因とされていますが、さすがに500メートルのシンクホールはフィクションです。でも、韓国きってのVFXチームが500メートルのシンクホールができたらどうなるかを徹底的にリサーチしており、迫力はたいしたものです。
ドンウォンとマンスのご近所トラブルなどコメディちっくにはじまりますが、序盤から結構、伏線をちりばめた脚本はうまい。バラバラで信頼関係のなかった住民やドンウォンの部下たちが命がけで助け合うのは感動的なんですが、笑いをしっかりいれてるのもいい。あまりにもコメディ寄りなので、犠牲者なしが良かったという意見もみますけれども、笑って泣いてというのが大衆映画の鉄則。ラスト無音、遠景からのショットで各登場人物を追っており、そこでうまく使われています。
そしてこれも映画だからという見方ができますが、いざというときに平凡な人物でも勇気ある行動やサバイバルのための判断ができるか。主演2人が平凡な中年男で、イケメンスターを起用していないこともあり、余計、身近に感じます。なにより家族愛が泣けるというのも韓国映画ならでは。昨年の韓国の動員数2位だったというのもうなづける出来でした。
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