2022年11月21日

恋人はアンバー

 同性愛者への偏見が厳しい30年前のアイルランドを舞台に、偽装カップルを演じる高校生を描いた青春映画。男がクソなのに女性が天使みたいなのはこの年頃らしい。

 作品情報 2020年アイルランド、イギリス、アメリカ、ベルギー映画 監督:デヴィッド・フレイン 出演:フィオン・オシェイ、ローラ・ペティクルー、シャロン・ホーガン 上映時間:92分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎  2022年劇場鑑309本



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 【ストーリー】
 1995年のアイルランドの田舎町。高校生のエディ(フィオン・オシェイ)は女性に関心が持てない一方、男性に興味があった。しかし、カトリックの教えが厳しい田舎町では同性愛者は迫害され、学校でもからかわれていた。

 一方、自分がレズビアンだと分かっているアンバー(ローラ・ペティクルー)も周囲からのいじめに困っていた。エディがゲイだと気づいた彼女は、高校卒業までのわずかの間、エディに偽装カップルになって周囲のいじめをかわすことを提案するのだが…

 【感想】
 現代の日本でも差別はいけないといわれつつも、高校生でのカミングアウトは難しいでしょう。「彼女が好きなものは」といった偽装カップルの名作もあります。まして、30年前のアイルランドだったらなおさら。しかも、エディは軍人の父親(バリー・ウォード)から軍人になることを期待され、アンバーも母子家庭で母親を悲しませたくない。

 親にも友人にも相談できなかった悩みが、同性愛者の片割れを見つけることで解決したようにみえます。しかし、精神的にはまだ子どものエディは自分がゲイだということが納得できず、病気か何かとおもってしまいます。わざと喧嘩してマッチョをみせようとしたり、アンバーを傷つけたり。エディの混乱と絶望はわかりつつ、彼のひどい行動にひいてしまいそうになりますが、それを含めて包容力のあるアンバーはすごい。

 ある意味、男からみた理想の女性(容姿、性格ともに)なんですけど、製作者側はわざとそういう設定にしているのでしょうね。それだけにクライマックスの展開がなんとも切ない。2人の性別を超えた友情とも愛情ともつかない関係は何ともうらやましいし、ティーンの将来への不安というのもきっちり描いている佳作です。 

 アイルランドの青春映画といえば名音楽がかかせません。本作も「Onceダブリンの街角で」のヒュー・ドラムが担当。90年代の数々の洋楽の名曲と併せて、エモい気持ちにしてくれます。一方で、カトリックなのにあれほど風紀が乱れた学校でいいのかという突っ込みもしたくなりました。
posted by 映画好きパパ at 06:04 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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