作品情報 2021年香港映画 監督:サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハーク 出演:フランシス・ン、ユン・ワー、サイモン・ヤム 上映時間:111分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2022年劇場鑑310本
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【ストーリー】
カンフー映画の巨匠、サモ・ハンは幼いころの厳しい訓練を思い出す。師匠(ティミー・ハン)は、サモたち少年少女に徹底的に基礎トレーニングを付けた。厳しいながらも弟子たちの成長を見守る師匠のことが年を取った今では懐かしく思う(サモ・ハン監督の訓練)
一攫千金を狙う3人の若者(ン・ウィンシー、トニー ・ウー、エリック・ツイ)。ITバブル崩壊やリーマンショック、SARSショックでの不動産暴落などさまざまな出来事を経ながら香港経済は着実に成長していく(ジョニー・トー監督のぼろ儲け)
一人暮らしをしている元カンフー使いの老人(ユン・ワー)の所にロンドンから孫娘(アシュリー ・ラム)が受験のために泊まりに来た。久しぶりに会った娘がすっかり西洋化されてとまどう老人だが、一緒に暮らすうちに心が通じ合っていき(ユエン・ウーピン監督の回帰)
【感想】
7本それぞれタイプが違うため、好みはひとによって分かれるでしょう。個人的には香港経済の成長と、3人の投資に意欲を持つ若者を対比させた「ぼろ儲け」、孤独な老人と西洋化された孫娘が次第に心を触れ合っていく「回帰」の2本が好きでした。回帰は、ハンバーガーのことを馬鹿にした老人が孫娘がみていないところでパク付くなど、ほのぼのとした人物描写でにやにやします。
他の作品も悪くはないのですが、ツイ・ハーク監督の「深い会話」は完全に香港映画界の楽屋ネタというか実名入りで各監督がでてくるメタ的構造なので、香港映画のことをあまり知らない僕では十分に理解できませんでした。それ以外は郷愁、出会いと別れなどの普遍的なテーマをうまく香港に落とし込んでいて、香港に行ったこともないのにノスタルジーをかんじさせる部分もあります。
まだ貧しかったころから、アジアを代表する金融都市になった現在まで香港の移り変わりは激しい。貧しいころにみんなで食事をわかちあう香港も、一攫千金を狙う若者が機械で注文を行う香港も、それぞれ監督が香港に愛着をもっていることが感じとれました。イギリスの植民地だったためか、イギリスやカナダなど欧米との結びつきが日本よりも深く、移住や留学が気軽に行われているのも驚きでした。
仕方がないとはいえ、共産党支配など政治に関する部分は欠落しています。しかし、古き良き香港を懐かしむ作品が多いし、警官が意地悪な役で出てくる作品もあることが、ベテラン監督たちの心情を表しているような気がします。
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