作品情報 2022年日本映画 監督:関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦 出演:香川照之、津田寛治、中越典子 上映時間:87分 評価★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2022年劇場鑑賞313本
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【ストーリー】
ケーブル会社で働きながら、映画やドラマのエキストラをしている宮松(香川照之)。女優の里帆(野波麻帆)を恋人にして、それなりに穏やかな生活を営んでいた。ところが、ある日、撮影所に谷(尾美としのり)という男が現れ、彼を山下と呼ぶ。
実は宮松は記憶喪失で、自分が何者か分からないまま宮松として生活を続けていた。谷の紹介で妹夫婦(中越典子、津田寛治)と再会することになるのだが…
【監督】
ピタゴラスイッチで知られる佐藤雅彦・東京芸大名誉教授、NHK出身の関友太朗、デザイナーの平瀬謙太朗が作った映像監督集団“5月”による初長編映画だそうです。どういう分担で撮影したのか分かりませんが、全般的に説明セリフをなくし、大仰な感情表現もみせないため、終始淡々と物語は進んでいきます。
宮松がエキストラを演じている劇中劇なのか、それとも宮松自身の行動なのかを惑わせるようなシーンがいくつも続きます。生きていること自体が夢、幻であり、自分もしょせん、世の中にとってエキストラのような取るに足らない存在なのだということなんでしょうか。そのうえ、何がどうなったのかを観客の想像にゆだねるタイプの作品ですし、起承転結があるわけでないので、余計に頭が混乱してきます。
それにしても香川のこうした抑制された演技は、テレビドラマのワンパターン的な悪役演技とはまったく違い、さすが名優といったところ。ただいるだけで不穏な雰囲気をだすのはすごい。脇役も津田、尾美といった曲者をそろえていて、大根役者がいないとこんなに画面が引き締まるのかと思いました。失礼ながら、中越がこのメンバーできっちり存在感を示したのも驚きです。個人的には出番は少ないけど、黒田大輔、諏訪太郎の邦画を支える2人の脇役がでてきたのも好み。
エキストラが主人公の作品は時折ありますが、宮松が結構、重要なセリフまで言っているのに驚きました。劇団出身でもない素人のエキストラなのに。でも、時代劇をはじめ撮影の裏側が見られるのは映画ファンとしては興味深かったです。撮影の休憩中に近くのラーメン屋にちょんまげ姿のエキストラがぞろぞろ入っていくのはシュール。
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