作品情報 2020年ロシア、ドイツ、ベラルーシ映画 監督:ヴァディム・パールマン 出演:ナウエル・ペレス・ビスカヤール、ラース・アイディンガー、ヨナス・ナイ 上映時間:129分 評価★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞314本
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【ストーリー】
1942年のフランス。ナチスのユダヤ人狩りで殺されそうになったジル(ナウエル・ペレス・ビスカヤール)は、たまたまサンドウィッチと交換してもっていたペルシア語の本を手に、自分はユダヤ人でなくてペルシア人だと主張する。
収容所のコッホ大尉(ラース・アイディンガー)は、終戦後、兄のいるテヘランでドイツ料理店を開くのが夢であり、ジルにペルシア語を教えれば命を助けると持ちかける。ペルシア語を全く知らないジルは、でたらめの言語をでっち上げてコッホに教える。もし、嘘だとばれれば殺される命がけのレッスンだった…
【感想】
ユダヤ人かペルシア人かは割礼してあるかですぐ分かるような気もするのですけど、どうなんでしょうか。それはさておき、パールマン監督は本作のテーマを想像力と記憶だとしています。自分がペルシア人のふりをして生き延びようとする想像力、同時に、架空の言語を忘れずにきちんと覚える記憶力。この2つがジルが生き延びるための唯一の手段でした。
ジルが架空のペルシア語を作る姿は真剣なだけに滑稽にも見え、戦争をテーマにしたブラックユーモアです。また、コッホが自分の夢を語る場面など、気のいい普通のおっさんにみえます。しかし、それなのに虐殺をしてしまったわけだから、戦争がいかに人間を狂わせるかということを浮き彫りにしています。
単なる戦時中の良い話で終わらせるのでなく、想像力と記憶力がラストへの感動をつなげる構成はうまいのですが、やはりちょっと間延びしてしまいます。ジルを偽ペルシア人だと疑うマックス兵長(ヨナス・ナイ)や女性看守のエルザ(レオニー・ベネシュ)のエピソードを入れていますが、あまり効果的とは思えませんでした。
パールマン監督はウクライナ出身で、幼いころ貧しいユダヤ人移民として旧ソ連を脱出。ハリウッドでも何作も撮っているベテランです。本作の出資にロシアやベラルーシも入っていますが、今回のウクライナ戦争をテーマにした彼の作品は見てみたいと思いました。ナウエル・ペレス・ビスカヤールはアルゼンチン人で、本作もきっちり演じているけど、この手の作品は必ずしもユダヤ人俳優ではないのですね。
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