作品情報 2022年日本映画 監督:柿崎ゆうじ 出演:平山浩行、竹島由夏、榎木孝明 上映時間:120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2022年劇場鑑賞322本
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【ストーリー】
1995年、ワインメーカー、メルシャンの新入社員安蔵光弘(平山浩行)は日々、草むしりやタンクの製造など雑用に追われ腐りかけていた。だが、独身寮を訪れた元工場長の麻井宇介(榎木孝明)から、一つ一つの作業に意味があると教わり目が開かれた思いになる。
ワインに対して情熱を燃やす安蔵に麻井も目をかけた。また、同じように夢と希望にあふれる若き醸造家を安蔵に紹介。そのなかには後に安蔵の妻となる正子(竹島由夏)もいた。やがて麻井は退職するが、安蔵は引き続き彼の薫陶を受けながら、日本ならではの理想のワイン作りにまい進する。
【感想】
脚本、制作もてがけている柿崎監督は以前、やはり麻井と若い醸造家を取り上げた「ウスケボーイズ」(未見、2018年)も手掛けており、この題材に並々ならぬ思いがあるのでしょう。「ウスケボーイズ」では橋爪功が麻井役で、ダンディな榎木とは恐らく違った感じでしょうから機会があればそちらもみてみたい。竹島のほか何人か両作に出演している俳優もいます。
さて、メルシャンというのは聞いたことがありますが、自分でワインを買うことがないのでなんとなく、フランスワインが世界一、日本などは遅れていると思っていました。しかし、本作をみれば今や日本のワインも消費者に受け入れられ、国際的にも評価されていることがわかります。麻井や彼を慕う醸造家たちの活躍でここまで来たのかと思わされます。タイトルのシグナチャーは「シャトーメルシャン」の高級ワイン。1本2万円近くするので、僕にはなかなか手がだせません(笑)
映画としては徳重聡、渡辺大、宮崎美子らそれなりに有名俳優が何人も出ていますけど、硬いインディーズ系といった感じは否めません。でも、作り手のワインやモデルとなった人物への思いが感じられ、ハリウッド風のウェルメイドな伝記映画とは違う、素朴な画づくりは悪くありません。日本の伝記映画特有の善人しかでてこないということもありますが、題材からしてワインに集中させるためにはいいのではないでしょうか。
平山は数多くの作品で手堅い脇役ででているだけに、主演でも着実な演技をみせてくれます。竹島は初めてみる女優ですが、初々しい感じと当時は少なかった女性の醸造家としての意地を両立させて適役でした。そして、なにより榎木のノーブルな雰囲気がワインにぴったりあう。つくづくワインが飲みたくなる作品でした。
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