作品情報 2021年フランス映画 監督:オードレイ・ディヴァン 出演:アナマリア・ヴァルトロメイ、ケイシー・モッテ・クライン、ルアナ・バイラミ 上映時間:100分 評価★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2022年劇場鑑賞337本
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【ストーリー】
1960年代、大学生のアンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は妊娠していることに気づく。しかし、出産すれば大学を辞めざるを得ず、彼女のキャリアはおしまい。中絶は違法で見つかれば逮捕される。周囲に相談するがだれも関わり合いになるのを恐れ、アンヌはある決断をする。
【感想】
中絶の問題はアメリカでも大きな議論になっていますが、フランスでもほんの50年前までは違法で、しかも刑務所にいれられてしまうというのは知りませんでした。自由と人権の国という印象があったので意外です。当時の日本のほうが中絶はしやすかったのではないでしょうか。
それはさておき、アンヌは好き勝手に遊んで妊娠したのだから自己責任。しかも、彼女は自己中心的な性格でみていていらいらしました。同時に、周囲にもいらいら。彼女の性交渉相手も女性の親友も彼女が妊娠したとしったとたん、自分を違法行為に巻き込むなと遠ざかってしまいます。彼女が妊娠しているのを知った別の男が、妊娠中だったらもう一度妊娠する心配はないだろうと、強引に性交渉にせまったり。男女とも今の感覚からすればクズが多い。医師も流産防止薬を偽ってのませたり、闇医者はいい加減な治療方法だったりと信用できません。中絶希望のアンヌですから定期健診などを受けるわけもなく、母体が無事だったのはラッキーでした。
アンヌにいらつきはしたのだけど、彼女にしてみれば社会も友人も親もだれも頼れない孤立状態。しかも、ただでさえ女性は結婚しろという圧力があるなか、大学を退学すれば自分の夢はかなわなくなります。このへん先日見た「シスター 夏のわかれ道」にも同様ですが、男性は好き勝手にできるのに女性に自己決定権がないというのは不平等です。わずか50年でここまで社会が変化するとは、当時のアンヌには思いもよらなかったのでは。
淡々としたリアルな映像でつづります。女子寮のシャワーシーンやアンヌの診察シーンをはじめ、ヘアヌードが山盛りで、これもつい何年か前だったら日本でもぼかしがかかってまともに見られなかったと思うと隔世の感があります。また、中絶の場面など男の僕がみても非常に痛そうなシーンがあるので、女性がみたらなおのことでしょう。まあ、ヴェネチアで金獅子賞、アナマリア・ヴァルトロメイはセザール賞の主演女優賞など、ヨーロッパで多くの賞をもらうような映画でしたけどね。
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