2022年12月29日

餓鬼が笑う

 今泉力哉監督作品をはじめ、数々の渋く上質な邦画で助監督をしてきた平波亘監督のなんとも不思議な作品。この世とあの世を行き来する独特の世界観はぼくにはちょっとわからなかったけど、なんだかすごいものをみた、おぬしやるな、という気にはさせてくれました。

 作品情報 2022年日本映画 監督:平波亘 出演:田中俊介、山谷花純、萩原聖人 上映時間:105分 評価★★★(五段階) 観賞場所:新宿KSシネマ  2022年劇場鑑賞349本



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 【ストーリー】
 父親(川瀬陽太)が破産して自殺した青年、大貫大(田中俊介)は骨董屋を目指して路上で物売りをしていた。ある日、マーケティングの授業をしている夜間の大学にもぐりこんだ彼は、看護師をしながら勉強をしている及川佳奈(山谷花純)と運命的な出会いをする。

 先輩骨董商の国夫(萩原聖人)に誘われ山奥の闇の骨董市に参加した大は、国夫と喧嘩別れ。山中をさまよい歩くうちに餓鬼のいる黄泉の国に迷いこんでしまい…

 【感想】
 企画・原案の大江戸康が本物の骨董商だそうで、骨董市のシーンは本物の骨董商と秘蔵品が集まったリアルなもの。大でなくても魑魅魍魎がいる骨董の世界に見入られてしまいます。ちなみに、でてきた商品のなかには本当に時価数億円のものもあったそうで、製作費より高いだろうと驚いてしまいました。

 その骨董の世界での成り上がりを描くのかと思いきや、黄泉の国に迷い込み大は不思議な体験をしてきます。さらに、佳奈も勤務先の病院で幻の画家といわれる高島野十郎(田中泯)の面倒をみることになり、幻想的な芸術の世界に巻き込まれていきます。この3つのシーンがまったく異なる肌合いをみせているので、見ているこちらはとまどいます。

 特に黄泉のシーンは、さまざまな意味ありげなようにみえますが、その解釈は観客にまかされます。黄泉の世界から戻った後、大や国夫はとんでもない目にあいますが、現世のほうがあの世よりもよほど地獄に近いというのでしょうか。また、大が路上で物を売っているときに幼い少女と出会いますが、最後のクレジットで役名をみて本当に驚きました。なにかと理路整然と説明しがちな邦画界のなかで、あえて、監督をはじめとする作り手のイメージを最優先し、観客に受け止め方を任せるという手法をとってます。意欲的ですが正直、難しい。目先のヒットというより後年、カルト作として話題になるタイプなのかな。

 作品自体はよく理解できませんでしたが、山谷花純の大きな瞳に吸い込まれそうになるような撮りかたはすごい良かった。池田良、片岡礼子の血まみれのシーンも、すごいもうけた気分になります。公式サイトにちょい役まで紹介されているのがうれしいかぎり。「ラーゲリより愛をこめて」ですごい印象的な風貌の俳優が、露天商役ででており、須森隆文という役者だとわかったのも収穫でした。

posted by 映画好きパパ at 06:02 | Comment(0) | 2022年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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