作品情報 2019年ドイツ映画 監督:ザラ・ヴィンケンシュテッテ 出演:ヨラン・ライヒャー、ソブヒ・アワド、アンドレス・ニックル 上映時間:89分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2022年劇場鑑賞353本
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【ストーリー】
村の少年サッカーチームでエースストライカーだったベン(ヨラン・ライヒャー)。しかし、村が電源となる泥寧開発のために閉鎖されることになり、都会の町に一家で移住する。田舎者として馬鹿にされ、サッカーチームでも不慣れなBKに回され苦戦続きだった。
同じクラスの転校生にシリア難民の子供タリク(ソブヒ・アワド)がやってくる。両親はトルコの難民キャンプ、ドイツに脱出する際に兄と生き別れになり養護施設に入れられているタリクもクラスで孤立していたが、サッカーは天才的な才能を持っていた。同じクラスとあり、ベンとタリクは次第に仲良くなり、一緒に練習するようになるのだが思いもかけない事態がおこり…
【感想】
ドイツは環境派の国だと思っていたけど、そのために村が閉鎖され移転されるというのは驚きました。日本だと昭和30年代のダム建設で移転したようなイメージでしょうか。田舎から都会にうつったベンが馬鹿にされるというのもありがちな設定。サッカーも空回りばかりです。
一方、タリクについてシリア難民だからと周囲が遠慮していて露骨ないじめはありませんが、無理解から彼にとって嫌なことになることもしばしば。さらに、自分だけがドイツにたどりついたということで養護施設にいれられ孤独で自由のない生活を強いられていました。小学生にとってそれがどれほどつらいことか。
でもサッカーを通じた2人の友情がやがて周囲も巻き込んでいきます。タリクに技を教わり、チームプレーの重要さがわかったベンは、強引にシュートに持ち込むのではなく彼にパスを渡してアシストすることを学びます。田舎者と馬鹿にされるのを恐れてかたくなだった心が変わることで、サッカーチームの仲間をはじめ周囲も2人をみつけていきます。そして、ベンがクラスメイトたちを巻き込んだアイデアで、タリクの家族を見つけようとしていきます。
ドイツの難民問題は日本では想像のつかないような深刻さなんでしょう。ストーリーは先が読めますし、余計な枝葉も多いけれど、でも国籍でなく人間として相手を見られる小学生ならではの率直さはみていてすがすがしい。2人の友情を見守るベンの両親(アンドレス・ニックル、アナ・コーニッグ)の接し方も心地よい。国情は違うとはいえシリア内戦の歴史をすらすら教えるなんてできないからな。サッカー的に言えば、チームに少女が1人いたり、トルコ人の少年がいたり多様性にあふれているのにも感心しました。
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